棒読みに聞こえるか原因は、実は「話し方の問題」ではありません。話の中で使っている「言葉そのものの力が弱い」のです。インパクトある言葉になっていない。瞬時に聞き手の記憶に残る言葉ではないのです。
例えば
「このコロナウイルス感染という難局を何としてでも国民の皆さんと共に乗り越えたい、と思います」
という一節があったとしましょう。ここで使われている言葉は
- コロナウイルス感染という難局
- 国民の皆さんと共に
- 思います
などですね。それぞれの言葉、総理大臣でなくても言えそうな、ニュースにも出てくるような言葉ですよね。
スピーチで聞き手を引きつけるコツのひとつは、「今、ここでしか言えない、自分にしか言えない言葉に変換する」ことなのです。
実際に変換してみましょう。
- コロナウイルス感染という難局
これに「今ここ」を付加してみましょう。例えば、
「緊急事態宣言を発令してからXX日目の今日、なお拡大が止まないコロナウイルス感染という目の前の難局」
となります。今日しか言えない情報になりますよね。
- 国民の皆さんと共に乗り越えたい
「皆さん」と言ってしまうと全員ひとかたまりのようで、ひとりひとりが強調されません。ここは「一億XX万、かけがえのない一人ひとりの命と生活」などとしてみると個々の存在を大切にしていることが感じられます。
- 思います
思っているだけで実行しないんだなと取られかねない漠然とした表現です。
これ、全てのリーダー、ビジネスマンの方に「思います禁止令」を出したいくらい、やめが方がいい言い回しです。
行動すると決意したなら「~をいたします」「~をします」と決断を表現する言葉に直してください。