「お客様には幅広い選択肢を提案したほうが親切」と思い込みがちですが、それが仇となる場合もあるようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、朝の時間帯にセットメニューの注文が入らないという悩みを抱えたカフェに提案した「意外な販売法」を披露し、商品を絞って提案した方がいいタイミングがあるという事実を記しています。
思い切って絞る
あるカフェのコンサルティングに入った時のことです。そのカフェはモーニングをやっているのですが、朝の時間帯の売り上げが減少していることに悩んでいました。モーニングでコーヒーを頼んでくれる人はそれなりにいたのですが、客単価があまり上がらず、セットメニューを注文してくれる人を増やして客単価を上げたかったのです。ただなかなかセットにしてくれる人がおらず、スタッフからセットにできる旨を伝えても注文が増えていきませんでした。
そこで、そのセットメニューの見せ方を少し変えることにしました。セットメニューは実は3種類あって、価格もそれぞれ少しずつ違います。通常はその3種類が載っているメニューをテーブルに置いておくという状態です。しかしこれだと、お客様は迷ってしまいますし、スタッフのアシストもしにくくなります。なので思い切って、1つのメニューに絞って、そのセットだけが載っているメニュー表を新たに作成したのですね。そしてそのメニュー表が一番上に来る状態でお客様にメニューを見せるようにしたのです。
その結果どうなったかというと、実施前は1ヶ月で60件ほどだったセット注文が、メニューを変えてからは270件ほどまでアップし、客単価が大きく向上しました。単純計算で、4倍以上の注文数という成果が出たわけです。
ここで大事なのは、思い切って絞るという考え方です。
先ほども書いたように、そのセットメニューは3種類という選択肢があります。店側(売る側)としては、メニューが3種類あるのですから、それぞれを知ってもらって、選んでもらいたくなるのが心情です。しかしお客様の視点で考えると、充実しているメニューのように見えても、時間の少ない朝の時間帯であることや、あまり頭の働いていない状態でコーヒーをちょっと飲みたいという状況であれば、いちいち悩む時間をかけたくはありません。だったら、メニューを用意しているとしても、思い切って「これが良いですよ」と絞って提案をすることで、お客様も選びやすく注文もしやすくなります。
ランチタイムでも似たようなことは考えられるかもしれませんが、ディナータイムになれば、この手法は逆効果にもなるかもしれません。でも、時間帯やお客様の心情を察していくと、あえて提案数を絞ることが効果を発揮することもあるのです。
通常の、接客をして商品を販売するスタイルでも、似たような場合はありますよね。提案できる商品の数がたくさんあっても、それを全部提案してお客様に悩んでもらう方が良い場合と、そうではない場合はあります。その判断をどうするか、そして思い切って絞った提案をするとしたら、まず何を提案すべきか。状況に応じて変化はしますが、ある程度需要の多いニーズなどで考えておくと、悩まずにサッと提案ができるかもしれません。
今日の質問です。
- 商品を絞って提案した方が良い場合と、そうではない場合にはどんな違いがありますか?
- 自店でお客様が悩んでしまうような場合には、どのように商品を絞って提案しますか?
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