人生100年時代を迎えるとも言われる中、豊かな余生を過ごすにあたって参考となるのは、先達の経験やご意見ではないでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』に登場しているのは、100歳の現役スイマーとして知られた長岡三重子さん。その生き方は、まさにすべての人の羅針盤たりうるものでした。
100歳の現役スイマーの教え
大正3年生まれ、100歳の現役スイマーとして数々の世界記録を更新した長岡三重子さんがお亡くなりになりました。『致知』にご登場いただいたのは6年前。
ちょうど100歳を迎えられた長岡さんは、お住まいの山口県から福岡市内の取材会場まで遠路をものともせずお越しになり、90歳を超えてなお現役スプリンターとして活躍する守田満さんと、輝かしい毎日を送る秘訣についてお話しくださりました。
もともとご主人の跡を継いで家業を盛り立てていた女性が、100歳の峠を越えてなお泳ぎ続けられた理由は何か。故人を偲んでお届けいたします。
長岡 「……最初は25メートルも泳げなかったですが、やっぱり練習というのはすごいものですね。週3、4回の練習をずっと続けていったら1,000メートルでも1,500メートルでも泳げるようになりました。
で、88歳の時に初めてニュージーランドの世界選手権に出場して銅メダルを一つ取りました。その2年後にはイタリアで世界選手権があって、今度は銀メダルを3つ取りました。この時に火が点いたんですね。金が取りたいって」
守田 「やっぱりやるからにはトップにならなきゃ気が済まないですよね」
長岡 「そのためには効率的に泳がなきゃいけないと思いましたので、91歳の時にコーチについたんです。一所懸命教えてもらって、毎年毎年タイムがよくなってね。だから、91歳から年を取るたびに速くなったんです。その4年間の努力が95歳の時に花咲いたんですね。最初に申しましたように、18本の世界記録を取ることができました。
その年は1年間で55回も大会の試合に出場しました。84歳からマスターズの大会に出始めて、この前も三重まで行ってきたんですけど、全部足すといままで大会で365回泳いでいるんです」
守田 「365回も!?」
長岡 「まあ、体力がありさえすれば泳げますからね。
1か月くらい前から息子と一緒に暮らしていますけど、私は主人が亡くなってから100歳になるまで、ずっと一人で生活していましたから、それで鍛えられたのかもしれません。
50年近くにわたって買い出しから料理、掃除、洗濯、誰もやってくれないから全部一人でやりました。いまもできるだけ自分一人でやるようにしています。
〔中略〕
目標を持ってね、それに突き進んでいかなければいけません。
年を取って輝く人っていうのはやっぱりある程度努力をした者ですよね。若い時と同じように、年老いてからも一所懸命努力しなきゃならないと思います。そういう人だけが楽しい思いをするようになるんです。それをただ楽ばかりしておったんじゃ、ろくなことはありません。
苦は楽のため、楽は苦のため。そういうことでしょう。
守田 「含蓄の溢れるお言葉です。長岡さんの100年の人生を支えてきたものは何ですか」
長岡 「私は上杉鷹山の言葉を心に留めて生きてきました。
“為せば成る 為さねば成らぬ
何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり”
これは私の母がよく言っていたんです。何でも一所懸命やりさえすればできるものなのよと。実際この年まで生きてきて思うのは、情熱を持って努力さえすれば何でもできる、できないことはないってことですね」
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