大ヒット商品「かんてんぱぱ」で知られる伊那食品工業ですが、同社会長の塚越寛氏は常々「株式上場するつもりはない」と語っています。その理由はどこにあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では塚越氏が明かしたその訳と、30年以上更新し続けてきたという「21世紀のあるべき経営者の心得」が紹介されています。
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21世紀のあるべき経営者の心得 塚越寛(伊那食品工業会長)
私は、単に経営上の数字がいいというだけでなく、会社を取り巻くすべての人が、日常会話の中で「いい会社だね」と言ってくださるような会社でありたいと願っています。
いい会社のイメージというのは私たちの中でははっきりしています。それは例えば、社員が親切だとか、笑顔がいいとか、隣近所に迷惑をかけないとか、よく掃除をして周辺の環境をよくすることに貢献しているとか、これらはみんないい会社の特長としてあげられると思うのです。
残念ながら、そういうものを評価する仕組みがいまの株式市場にはありません。だから私は上場は考えないのです。
利益も成長も、「いい会社だね」と言っていただけるような企業活動をした結果得られるものです。そのためには、まずリーダーである私が自分を律していかなければなりません。
ここに「21世紀のあるべき経営者の心得」というのを掲げていますが、私は30年以上も前からこうした視点で自分を省み、自分を律してきました。当初は「1970年代の企業経営者心得」としてまとめたものを、幾度も書き換えながら、会社として、経営者として、本来あるべき姿を確かめ続けてきたのです。
21世紀のあるべき経営者の心得
一、専門のほかに幅広く一般知識をもち、業界の情報は世界的視野で集めること。
二、変化し得る者だけが生き残れるという自然界の法則は、企業経営にも通じることを知り、すべてにバランスをとりながら常に変革すること。
三、永続することこそ企業の価値である。急成長をいましめ、研究開発に基づく種まきを常に行うこと。
四、人間社会における企業の真の目的は、雇用機会を創ることにより、快適で豊かな社会をつくることであり、成長も利益もそのための手段であることを知ること。
五、社員の士気を高めるため、社員の「幸」を常に考え、末広がりの人生を構築できるように、会社もまた常に末広がりの成長をするように努めること。
六、売る立場、買う立場はビジネス社会において常に対等であるべきことを知り、仕入先を大切にし、継続的な取引に心がけること。
七、ファンづくりこそ企業永続の基であり、敵をつくらないように留意すること。
八、専門的知識は部下より劣ることはあっても、仕事に対する情熱は誰にも負けぬこと。
九、文明は後戻りしない。文明の利器は他社より早くフルに活用すること。
十、豊かで、快適で、幸せな社会をつくるため、トレンドに迷うことなく、いいまちづくりに参加し、郷土愛をもちつづけること。
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