遅きに失して真実に迫れず。中国の思惑通りなWHO「武漢調査」

 

【サーチ&リサーチ】

2020年4月20日付
米トランプ前政権が調査に乗り出していることについて、ワシントン・ポスト紙(電子版)が報じたことがニュースになっている。

「在中国米大使館の職員らが2018年1月、同研究所を複数回訪れ、米国務省に公電2通を送っていた。同紙が入手した最初の公電は、研究所側が、コウモリを使ってコロナウイルスについて調べている研究室で安全な作業に必要な熟練の技術者が圧倒的に不足しており、米国の大学や機関に支援を求めていると明記していた」と。

また、FOXニュースは「複数の情報源の話として、新型ウイルスは同研究所内のコウモリから所員に感染し、武漢市内に広まった」と報じたという。

*翌日、ホワイトハウスでのトランプ大統領記者会見で、FOXニュースの記者が自社の報道をなぞる形で質問。「米国政府は、コロナウイルスは自然発生したものではあるものの、武漢のウイルス研究所から流出したものと強く信じているということです。一人の実習生が安全の手順をおろそかにした結果、感染し、彼女からボーイフレンドに感染させその後、武漢の魚市場へ感染を広げたということですが、大統領はこの情報を当局者からお聞きになっていますか?」と聞いている。トランプ氏は曖昧な答えに終始している。

2020年4月23日付
WHOの報道官は、新型コロナウイルスは「研究所などで人為的に操作や作製されたものではなく、動物が起源であることをあらゆる根拠が示している」と言明。

*ここは論点がずれている。トランプ政権からもウイルスが「人為的に操作や作製された」との説は出ていない。WHOが否定したのはウイルスに関する「陰謀説」で、武漢ウイルス研究所から女性実習生が流出させてしまったというFOXニュースが伝えた説の否定ではない点に注意。

2020年5月20日付
「中国科学院武漢ウイルス研究所の王延軼所長は、同研究所から新型コロナウイルスが漏えいしたとの見方は「でっち上げだ」と否定し、研究所が初めて新型コロナウイルスを扱ったのは前年の12月30日だったと証言。

*そして、今年1月半ばに武漢入りしたWHOの調査団が2週間の隔離を経て調査を開始した。

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