呪われた政権。ボロ神輿で担がれた菅首相が自民にポイ捨てされる日

 

菅の最後の望みはワクチン

すでに五輪開催への万策尽きた状態で、菅が最後の望みを託すのが、ワクチン接種の急速な普及でコロナ禍を収束させることです。そのため1月18日に急遽、河野太郎をワクチン担当大臣に指名し、「まだか、まだか」の矢の催促。それでようやく2月12日にファイザー社製のワクチンの日本向け第1便が到着しました。未確認情報では40万回分とされていますが、それにしては実施計画は控えめで、2月下旬からまず医療関係者1万人程度で始めるとされています。が、このテンポでは約400万人の医療関係者に第1回摂取を行い、それから3週間を空けて第2回摂取を完了するのは一体いつのことなのか。

仮に3月中に400万人に第1回を終えても、第2回を終えるのは5月一杯。そのように机上で計画を立てても、本当にそれまでに医療関係者だけで800万回分のワクチンが届くのか。今のところ何の確証もないのです。それに続いて4月からは65歳以上の高齢者3,600万人に接種が始まる予定ですが、それも、2回計7,200万回分のワクチンが届いていなければ話になりません。

ドイツの場合のように、第1波は見事に抑え切って世界の賞賛を浴びたものの、昨夏からブリ返して10月以降には感染者が急増。慌ててアストラゼネカ社のワクチン接種を進めたが、国民の4%に達したところで同社から供給を止められてしまい、その結果、メルケル首相が「我々は事態をコントロールする術を失った」と告白する破目となりました(2月12日付NYタイムズ)。日本も、ワクチンが届かなければたちまちお手上げです。

何もかも仮の話になってしまいますが、仮にワクチンの供給に不足がなく、順調に接種が広がった場合でも、直ちに終息ということにはならない。例えば、世界で最も接種が進んでいるイスラエルでは、すでに国民の4割が第1回の接種を受け、2割強は第2回の接種も終えていて、その限りでは感染を防ぎ重症化を減らすのにかなりの効果があるというデータも出つつありますが、国全体では新規感染者数は一向に減らず、1日6,000人から9,000人の間で高止まりしたままで、ロックダウンを解除できないでいます。12月から接種を始めたイスラエルでこうなのですから、日本が3月から本格的に始められたとして5月や6月までに終息宣言を出すなどあり得ないことなのです。

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