呪われた政権。ボロ神輿で担がれた菅首相が自民にポイ捨てされる日

takano20210215
 

今となっては発足時の「人気」が信じられないほど、支持率低下が著しい菅政権。新型コロナ対策の失敗や相次ぐ議員の不祥事、さらには東京五輪組織委の会長職にあった森元首相の女性蔑視発言やその後の人事を巡るゴタゴタ等々、まさにトラブル続きと言っても過言ではありません。この先、新型コロナの収束は見込めるのでしょうか。そして東京五輪の開催は可能なのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、「誰が考えても五輪は無理」としてその理由を明らかにするとともに、今後どんなに批判の矛先が自分たちに向こうとも、自民党が9月の総裁選まで菅首相を担ぎ続ける可能性もあり得ると記しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年2月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

森会長辞任でますます加速する菅政権の崩壊――進むも地獄、引くも地獄のどん詰まり

菅義偉政権が発足してから5カ月が経ちました。朝日新聞の調査で見ると発足時に65%あった内閣支持率が下がり続けて、1月には早くも不支持45%が支持33%を上回る逆転が起きた。この最初の4~5カ月の下がり方は、歴代では麻生内閣が最速でしたが、菅はほぼそれに近いスピードです。

この政権は呪われている?

振り返って見ると、昨年9月16日の政権発足以来、いいことは何一つもありません。9月25日に言わば初仕事として打ち出したのがGoToキャンペーンを拡大するという方針で、つまり「イノチ(コロナ封殺)よりカネ(経済)」という政権としての基調が定められた。これでその後の第3波への対応の失敗が約束されたわけです。次が10月1日の学術会議の人事拒否事件。これは、菅が最も信頼する警察官僚の杉田和博官房副長官による時代錯誤の「赤狩り」で、内閣の評判を酷く傷つけました。10月19日からは、初めての外遊で、ベトナムとインドネシアを訪れましたが、意味不明、インパクトはゼロ。

11月に入ると、首都圏を中心に感染者が急増、第3波が押し寄せつつあるのは明らかでしたが、政府は何とかして緊急事態宣言を出さずに済ませようと、小池百合子都知事はじめ各都府県に対し、飲食店などの営業時間を午後10時から8時に繰り上げるよう求めました。ところが知事たちは、権限がない都府県では店に「お願い」することしか出来ず効果がないと主張。具体策を出せないまま、西村康稔コロナ担当相が精神論だけの「勝負の3週間」を呼びかけたのですが、その間にも新規感染者数は過去最高を更新し続けるという大失敗に終わり、結局、12月14日のGoTo一時停止、1月2日の知事たちの申し入れに応じて7日から緊急事態宣言、1カ月後の延長という負の連鎖に追い込まれてきたのでした。

ところが問題はコロナだけではない。安倍晋三前首相の「桜を観る会」不正会計問題は安倍本人が検察の事情聴取を受ける事態に発展し、河井夫妻の巨額買収事件は案里議員の有罪確定、議員失職に至る一方、その余波で広島の鶏卵業者から吉川貴盛元農相に賄賂が渡されていたことが明るみに出て、こちらも議員辞職――というスキャンダルまみれ。さらには、国民に自粛を呼びかけておきながら、菅自身を含めて与党議員が何人もステーキ会食したり銀座の高級クラブ遊びに耽っていたというおまけまで付いて、こちらでも辞職する議員が出ました。もう満身創痍。そのため、秋の臨時国会は、本来なら会期を延長してでもコロナ対策を議論しなければならないというのに、12月4日でさっさと早仕舞いしてしまいま
した。

それで上述のように緊急事態宣言とその1カ月延長で何とか感染の増勢を抑えられるかと思い始めた2月初め、今度は菅首相の長男の総務官僚への違法接待疑惑、そして森喜朗=東京五輪組織委員会会長の失言・辞職……。この政権は「呪われている」としか考えられません。

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