呪われた政権。ボロ神輿で担がれた菅首相が自民にポイ捨てされる日

 

デッドラインは6月でなく3月

しかも、五輪を開けるかどうか決断を下さなければならないのは、開催の前月の6月ではなく、3月なのです。3月25日の福島発の聖火リレーを始めてから、途中で「やっぱり止めます」というわけには、いくら何でもいかないでしょう。その時点で必ず開催できるという確信を世界に向かって宣言できないのであれば、中止をせざるを得ません。

しかも日本の状況だけではなく、世界の状況があるわけで、ユニセフとWHOの2月10日付の共同声明が言うように、「これまでに全世界で1億2,800万回分のワクチンが接種されたが、その4分の3は豊かな10カ国で行われている。25億人が暮らす120カ国には何も届いていない」という中で、お祭り騒ぎのようなことができるはずがないでしょう。ワクチン接種を進めている米国でさえ、夏までに本当に収まって選手団を送り出せるのかどうかわからない――というより、まず無理でしょう。米国が出ないような五輪を米NBCは世界テレビ中継をするでしょうか。

こうして、誰が考えても五輪は無理。ところが菅はそれを自分から言い出すことはできません。それで突っ張ってここまで進んできたのですが、3月末を超えてそれを続けることはできない。かといって中止とすれば袋叩きで、自民党内でもたちまち「菅降ろし」が始まることになります。まさに進むも地獄、引くも地獄の瀬戸際に追い込まれているのです。

もっとも、そこで急いで総理の首をすげ替えると、次の人は4月3補選、7月都議選など難しい選挙を戦って早々に傷つく可能性もある。そこで、もうヨレヨレボロボロになった菅を、それでもいいから首根っこを壁の釘に吊るすように置いておいて、9月の自民党総裁選前にすべての悪いことを彼におっ被せて投げ捨てた上で新総裁を選出、気分一新、10月21日までの総選挙に臨むという選択も、自民党としてはあるかもしれません。菅には余計に残酷な終わり方になりますが、それも自ら招いたことですから、仕方がないことです。〔本稿は、2月13日に千葉市で行った講演をベースにその一部を要約し補足したものです〕

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年2月15日号より一部抜粋・文中敬称略)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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