SNSの駆使と徹底した透明性、さらに顧客とのより深いつながりを醸成することで、ミレニアル層から絶大な人気を獲得したアパレルショプ「エバーレーン」。しかし、コロナ禍は同社を取り巻く状況も一変させたようです。今回の無料メルマガ『次世代ニューノーマルに売れるサステナブルビジネス~第3の持続可能なビジネス 全貌解説!!』では著者で米国ビジネスモデルコンサルタントの清水ひろゆきさんが、エバーレーンが失速した理由を解説するとともに、持続可能なビジネスモデルに不可欠な要素について考察しています。
ニューノーマル世代が共感するアパレルショップエバーレーンはコロナでどうなったか?
創業者Michael Pressman氏は、自身の服の生産工程を知ることができないという、素朴な疑問を解決しようとアパレル企業を創業したのがエバーレーン誕生のきっかけでした。
同社のビジネスモデルは100%の透明性を売りに、少量生産で在庫を抱えることなく売り切れば、アパレルは値入率を低くしても、利益を生み出せる。
彼は毎週新作をマイナーチェンジで発表することで、ファッション=流行を感じさせながらも、トレンドに左右されないラグジュアリーベーシックという領域を事業ドメインにしたビジネスモデルを構築します。
SNSで販促、ミレニアル顧客を獲得!!
エバーレーンのマーケティングツールはずばり、SNSです。顧客とインスタ、タンブラー、スナップチャットでリンクし、フェイスブックメッセンジャーボットで顧客の質問に対応することで顧客満足を獲得していきました。
同社のビジネス軸は他のブランドとは違いキャンペーンやファッションショーの写真は使用せず、顧客とブロガーやカスタマー商品レビューページを用意することでコミュニティーを醸成し、顧客リピートを生み出すことです。
同時にエバーレーンは同社のオフィスに顧客をインビテーションし、オープンスタジオという名で商品の試着と共に食事やお酒を飲んで楽しむパーティのようなイベントを開催し、顧客とより深いつながりをリアルな出会いで醸成していきました。
エバーレーンのターゲットは、ずばり9,000万人にも上るミレニアル層(26歳から40歳)が含まれ、この層の半数以上はラグジュアリーブランドよりも社会的に考慮された製品を好むソーシャルコンシャスです。
そのため同社は、徹底された透明性でミレニアル層にソーシャルグッドを訴え、エバーレーンの世界観に共感してもらい、品質よりその販売価格にバリューを感じ、そのブランド価値に納得してもらう仕組みを構築しました。
しかしコロナが勃発し、ソーシャルコンシャスのミレニアル層に支持されたエバーレーンは、自社のブランド価値を発信する透明性告知ツールとして多用したSNSの一つツイッターで、従業員解雇のメールを送ったことで、これまで築いたブランド価値を下げてしまいます。