中国に拉致されたら諦めろ?邦人人質、日本政府による救出は上級国民のみ

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他国に対して一歩も引かず、恫喝も辞さない中国の「戦狼外交」に、中国駐留中の外国人を不当に逮捕・拘束する「人質外交」。どちらも我が国が掲げる国際協調主義とは相容れるものではありませんが、日本政府は隣国のこの振る舞いにどう対峙してゆくつもりなのでしょうか。今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』では株式会社オンザボード代表の和田憲治さんが、これまでの中国による「戦狼外交」と「人質外交」の具体例を改めて挙げるとともに、国民が知っておくべき「日本政府の方針」をアナウンスしています。

「戦狼外交」と「人質外交」

「中国を侮辱する者は代償を支払う」というキャッチコピーの中国版ランボー映画『戦狼』は中国内で大ヒットしました。

中国の報道官や外交官たちが、この映画の戦士たちのように、過激かつ好戦的で、上から目線で他国を罵るスタイルを称して「戦狼外交 wolf war diplomacy」といいます。

実際、中国外交官の趙立堅氏はじめ、世界各地に駐在する外交官が現地で問題発言を繰り返しています。

他国からどう思われるかがわからなくなっている。ここでもルトワックのいう、“大国の自閉症”が炸裂しているわけです。

自国への批判に対して、強い表現を使い、嘘をついてまで反論する。それだけでなく、弱い相手、小国には服従させようと挑発、恫喝をも辞さない。

言動だけではなく、意に沿わない場合は経済制裁を科したりするような強硬外交を展開し、各国との間で摩擦を生じさせる。

クライブ・ハミルトン氏の著書『見えない手(Hiden Hand)』では、現在の「戦狼外交」は異常だが「恐怖に動機づけられたイデオロギー戦」であると仮定すれば納得できると分析しています。

中国は自国の(レーニン主義)「共産主義政党」の存続におけるイデオロギー面での重要性に気がついたからだと紹介されています。

さらに、タチが悪いのは、中国の行う「人質外交」です。

実際に、2020年6月25日付『グローバル&メイル』によると、趙立堅氏が「2人のマイケル(Michael KovrigとMichael Spavor)は人質だ」と中国内で抑留している2人のカナダ人を実質人質として扱っていると認める発言をしている。

さすがに、以前は「事実無根の無関係」だと言い張っていたのに、人質だと脅したほうが話が早いとでも思ったのか、本音を建前で隠さなくなりました。

こういう外交は、もちろん対日本でも行われています。

2010年に尖閣諸島で起こった日本の巡視船と中国の漁船との衝突事件から中国政府がレアアースの輸出を禁止しました。

当時の中国の温家宝首相は、日本側が中国漁船の船長を釈放しなければ、一段の措置を取るとまでけん制し、その後菅直人首相は釈放しています。

日本側は人質でもなく、相手が違法行為をしたから逮捕しただけの話ですが、なぜか中国からの脅しに屈したわけです。

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