年金機構への不信は頂点に。マイナンバー「中国に流出」疑惑で起こり得る最悪の事態

2021.02.18
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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立憲民主党の長妻昭副代表が17日の衆院予算委員会において、日本年金機構が扱っていたマイナンバーなどの個人情報が中国に流出した可能性を指摘したことが、大きな反響を呼んでいる。

各社の報道によると、マイナンバーの流出があったのではとされるのは2018年のこと。当時、日本年金機構から個人データ入力の委託を受けた東京都内の情報処理会社が、その業務を中国の業者に再委託したことが判明し、大きな問題となった。ただ、当時の日本年金機構による特別監査では、再委託したのは500万人分の氏名部分の入力だけとしていた。

長妻昭氏

長妻昭氏

ところが、長妻氏が厚生労働省から入手したという2018年の監査のきっかけになった通報メールには、マイナンバーを含む個人情報が中国のインターネット上に流出していると書かれているという。ことの真偽をただされた日本年金機構の水島藤一郎理事長は、記載されている情報は「基本的に正しい」とするいっぽうで、マイナンバー部分に関しては「正しいものと確認させてもらうことは差し控えたい」と、曖昧な答弁に終始したという。

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今回だけじゃない年金機構の情報漏洩に怒りと呆れの声

今回の疑惑発覚に関してネット上の反響を見てみると、やはり目立つのが「またか……」といった反応。それは言うまでもなく、日本年金機構による個人情報の“お漏らし”が、今回に限ったことではないからである。

なかでも最も大きな問題となったのが、2015年に発生した個人情報流出。日本年金機構内のずさんな管理体制が原因で、職員間でのコンピューターウイルス感染が拡大してしまい、外部から年金情報管理システムサーバへの不正アクセスを許してしまうことに。年金加入者氏名、基礎年金番号、生年月日、住所などおよそ125万件の個人情報が流出してしまった。

また2017年には、日本年金機構に勤めていた職員が、年金加入者の個人情報、合計約400人分を不正に外部へ持ち出していたことが発覚し、2人の職員が逮捕されるという事件も。その際は、情報の漏洩が約8年間に渡ってまったく気づかれることがなかったということで、日本年金機構のチェック体制の甘さも指摘された。

そして、今回再び浮上した2018年の情報漏洩問題。そもそもこの個人データ入力業務は、個人情報保護を目的に「再委託禁止」の特約を付与して契約を締結していたようだが、それにも関わらず中国業者に再委託されていたことに関しても、当時多くの批判の声があがっていた。しかしいっぽうで、中国業者から個人情報が外部に流出した可能性について、日本年金機構は「今のところ確認されていない」という説明に終始。その件に関しては、そのままうやむやになっていた。

ところが今回の長妻氏による指摘により、通報メールに書かれていたという「マイナンバーなどの個人情報流出」が実際にあったかどうかはともかく、少なくともその恐れがあることを当時の日本年金機構は秘していたことが明らかに。また、今回の指摘に対して「わからない」「確認を差し控えたい」という曖昧な答弁を繰り返したことで、日本年金機構への不信はさらに深まる形となったようだ。ネット上では「国民を舐めている」「ほんともういい加減にしてほしい」といった、怒りと呆れが入り混じった声が多数飛び交う事態となっている。


「マイナンバー流出」で今後懸念される事態とは

今回長妻氏が指摘した、マイナンバーをはじめとした個人情報流出の可能性。もしも本当に流出があった場合に、それによる悪影響としてもっとも心配されるのが「詐欺に用いられるのでは」という恐れだ。ネット上でもそのことを指摘する意見は多く、さらには実際にデータ流出はなくとも、今回の報道に乗じての詐欺行為も大いに考えられるという声もあがる。


さらに、今回の流出が事実であれば現行のマイナンバーは危ないのではということで、最悪のケースとして「ナンバーの振り直し」が発生するのではという声も。数件、数十件の振り直しならともかく、万が一中国業者に再委託した約500万人分においてナンバー振り直しの必要に迫られたとすれば、相当な混乱や費用が想定される事態にもなりかねない。


近年ではマイナカード作成時にポイントを付与する事業を推し進めたり、さらには運転免許証や保険証などとの紐付けなど、マイナンバー普及にかける並々ならぬ熱意を随所に見せてきた政府。その必死ぶりに対して、逆に疑いの目を向ける層も一定数存在するワケだが、今回の件で「やはりマイナンバーは危険」という論調が、さらに幅を利かせる可能性もありそうだ。


直近では、国民的な懸案事項である新型コロナウイルスのワクチン接種にも活用されるといった話も浮上していたマイナンバー。そうであれば尚更のこと、今回の流出疑惑の真相解明と再発防止に向けての取り組みを早急に行って欲しいというのが、国民の切なる願いではないだろうか。

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