結局やるのか、やめるのか。誰も言い出せぬ東京五輪の最悪シナリオ

 

一方で、同じ「丸」でも、担当の丸川大臣の方は「オリパラ開催はワクチン接種前提ではない」と発言しています。これも、意味が良く分かりません。少なくとも、ワクチン接種率が稼げなくても、感染対策と自然減で「開催に持って行ける」という意味だとはとても思えません。

この発言を翻訳するのであれば「オリパラを理由に接種促進をすると、ワクチン忌避の報道や世論を刺激するだけなので、炎上は必至。そのぐらいは私たちも知っていますよ」というような意味にしか取れません。そして、もしかしたら、それ以上の意味はないのかもしれません。仮にそうであれば、認識のレベルとしてとても「開催まで持って行ける」レベルではないと思われます。

勿論、確証はありません。そしてこの後も真相が明るみに出るかどうかは分かりません。ですが、一連の五輪行政においては、全能の巨悪が「闇」をかかえて強権で突き進もうとしているのではなく、むしろ無能な無責任体制が、全体像も、現状の正確な理解もできないまま、困惑しながら時間だけが経っている、とりあえずそのような仮説を持つのが良いと思うのです。

そうした仮説に基づいて個々の問題について批判したり、島根県のように事態を動かすための刺激をして行くしかないように思うのですがどうでしょうか。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋)

image by: Karolis Kavolelis / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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