トヨタの技術者が「者に聞くな、物に聞け」と繰り返し続けるワケ

 

「あなたは誰から給料をもらうの?」

現場では、目先の問題に振り回され、事の本質を見失ってしまいがちです。

この質問に対して、上司の名や会社をあげるのではなく、給料はお客様からいただいている、ということを出発点にすることで、品質やコストにも気を配ったお客様第一主義のものづくりが実践できるのです。

訪問した会社の管理レベルは、現場で作業をしている従業員さんに、「この部品は次にどこへ行くのですか?」と聞いてみればだいたい分かります。

「隣の箱に置くんだよ」という答えには、「自分は誰から給料をもらっている」という問題意識は見受けられません。

一人ひとりが、「この部品はこういう工程をたどり、最終的にこの製品になってお客様のもとへ届けられます」と答えるところまで持っていくことができれば、その会社の現場レベルは相当なものになっているに違いありません。

「陸上のバトンリレーのようにやりなさい」

トヨタ流の仕事のやり方を、私はこの言葉で表現しています。

陸上のリレー競技では、前の走者から次の走者へとバトンを渡すバトンゾーンがあります。

そのゾーン内であればどこで渡してもいい。

バトンゾーンを有効に使うことで前走者と次走者の引き継ぎが円滑になり、全体のタイムを縮めることができます。

これは仕事も同様で、例えばベテランから新人にバトンを渡す場合、ベテランはバトンゾーンのギリギリのところまで走って新人を助けてやればいい。

バトンゾーンがあることで、自分の範囲を超えて仕事をしたり、アクシデントが起きた時には逆に助けてもらったりできます。

お互いに自分の領域を少し超えながら、助け合ってリレーを走ることができるのです。


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