藤井聡教授が断言。無能な日本政府に予定通りのワクチン接種など不可能なワケ

 

ちなみに言うと、ちょっと前に流行った映画「シンゴジラ」で、官邸に集められた超優秀な官僚たちが、総理や官房長官の前でゴジラに対してミサイル一発を撃つかどうかを超高速の言葉を交わしながら議論し、そのせいで「迅速なゴジラ対応行政」が全然出来ない……というシーンがありましたが(覚えてる方はおられますでしょうか……?)、これからワクチンを巡って、ああいう議論が霞ヶ関、永田町で延々と繰り返されるのです。

あのシーンが意味しているのは、今の日本の官僚たちは「日本をゴジラから守る」という究極目的はさておき、とにかく「自分が従わなければならない全ての法令・政令ルールから逸脱しないように、上司からの命令を遂行する」ということ「しか」頭にない、という真実であり現実です。つまりあの官僚たちは実は、「保身」(ならびに、それを前提とした「出世」)以外の興味関心を持たないのです。

だから彼等にとって、「保身」(ならびに出世)とは無関係である限りにおいて「迅速なワクチン接種の推進」など当然、全く眼中に無く、円滑に事が進む事など絶対に考えられないのです。

もちろん、菅総理と直接関係を持つ超高級官僚たちは、自らの「保身」と「迅速なワクチン接種の推進」事務とが一致するので、彼等は熱心に迅速なワクチン接種のために必死になるでしょう。例えば、河野太郎や和泉首相補佐官などは、必至になってワクチン接種の推進を使用と「シャカリキ」になることは間違い有りません。

しかし、末端に行けば行くほど、菅総理の意向が直接届かなくなります。

菅総理に直接会うこともできないし、菅総理に気に入られるチャンスなど無いからです。だから末端に近い官僚たちにとっては、「迅速なワクチン接種の推進」等どうでもいいのです。

いずれにせよ、保身だけに注意を向ける官僚たちにとっては、「直属の上司の意向」と、「自分が従わなければならない全ての法令・政令ルールから逸脱しないようにする」という事だけがただただ重要です。だから、各行政組織の末端に近いところには、この行政の目的である「迅速なワクチン接種の推進」等、全く眼中に無い無気力な官僚がわんさかいる、という状況になっています。

そして、今回のワクチン行政は、直接の所管の厚労省のみならず、輸送については国交省、冷蔵施設については経産省、地方自治体対応については総務省、その上、全ての自治体の公衆衛生担当部局という、実に幅広い組織が関連しており、そこには、菅総理の直接の「脅し」が効かない大量の末端の官僚たちが存在しているのです(無論、どんな組織にも心ある人々はいますから、彼等は、出来る範囲で国民の為に働こうとしますが、政権中枢が腐っていてはそういう心ある官僚の働きや工夫は全て無視されかねないのが実情です)。

だから、どれだけ菅総理周辺が「シャカリキ」になっていたとしても、ワクチン行政が円滑に進む事など、絶対にあり得ないのです。

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