いずれにしても、現代日本における優秀な官僚とは、あのシンゴジラのシーンが的確に描写していたように、「自分が従わなければならない全ての法令・政令ルールから逸脱しないように、上司からの命令を遂行する」という特殊な振る舞いが「的確」にできる官僚を言うのであって、「日本をゴジラから守るために適切な判断をする」という能力ではないのです(ちなみに、前者のように振る舞う官僚を「テクノクラート=機械のように振る舞う役人」、後者の様に振る舞う官僚を「パブリック・サーバント=公衆の僕、つまり公僕」と呼ばれるのが一般的です)。
だからこそ、迅速にワクチン接種が進むことは万に一つも無いだろうとしか考えられないわけですが、そういう傾向(つまり、公僕あらざる機械的官僚的傾向)は今、菅内閣で驚くほど急激に加速しています。
なぜなら、菅氏は(官房長官時代から)「内閣人事局」という制度をフルに活用し、自分の言う事を聞く「かわいい」官僚達(例えば和泉補佐官や山田内閣報道官など)を徹底的に重用する一方、少しでも気に入らなかったり、少しでもミスをした官僚を徹底的に干したり飛ばしたりする、いわゆる「恐怖政治」を政府の中で徹底しているからです。
つまり菅氏は、「加点法」ではなく徹底的な「減点法」で人事評価をしているのです。
そもそも「公僕」は、加点法(つまり、良いことをしたら褒められる)というシステムでは評価されますが「減点法」(悪い事をしたら、責められる)というシステムでは全く評価されないどころか、悪い官僚というレッテルを貼られてしまう存在です。
「減点法」だけが支配する組織の中では、「公僕」ではなく、「機械的役人」だけが高く評価されてしまうことになります。
そして、そういう機械的役人は、上司の顔色を伺って、「激しい忖度」を繰り返すのです。
というよりむしろ、菅氏は、官僚達に激しく忖度される事を意図して、内閣人事局をつくって減点法という「脅し」によって官僚達を震え上がらせ様としているのです。菅氏はそうやって官僚達を脅しながら自らの思いのままにコントロールしようとしたのです。つまり、官僚達が忖度しまくる現状というのは、菅氏が意図的に作り出した状況なのです。
言い換えるなら、菅氏は彼の官房長官時代から、官僚達の自由な発想を全てゴミ箱に捨て、人事という武器を使って部下を脅し、自分の言うことだけ聞くロボット、つまり「奴隷」を量産しようとしたわけです。
実におぞましい……。