そして最後のCですが、
(Cの1)菅政権、小池都政は、そもそも招致を推進してきた勢力であり、進むにしても退くにしても、政治的に加点は難しい、減点を最小限にするディフェンス戦略になる。但し小池都知事としては、悪いことは国に押し付けて、政治的には比較優位に立とうとするであろう。
(Cの2)IOCも実は立場は脆弱。キャッシュフローがどのぐらい毀損しているかは分からないが、苦しいのは間違いない。もっと言えば、近代五輪の継続すら危ぶまれる状況という感触もある。
(Cの3)日本が延期や中止を言い出してしまうと違約金を取られるというのは、重要な問題。この点が招致の契約でどうなっているのか、そこをガラス張りにしてもらわないと、日本は国としての判断はできない。放映権の問題も含めて、金が絡むのは仕方がないが、とにかく異常事態における扱いが契約上どうなっているのか、透明性が確保できないのなら、どの国も五輪を引き受けないであろう。
ABCの3つの観点から考えてみましたが、これはあくまで1つのモデルケースだと思います。こうした複雑な問題について、分かりやすく国民に説明して、その上で判断を共有できる能力、それが統治能力であると思います。いくら野党の場合はその能力がゼロだからといって、菅内閣がノラクラと説明から逃げていてはいけません。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋)
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