【書評】東大医学部の「健康診断」受診率が低いのにはワケがある

 

大の酒好きで、もう何十年間も毎日毎日飲み続けている。この本を書くときに計算したら、1万2,150日連続の飲酒記録を更新中だった。なのに健康診断は断固スルーしている。

何も症状がないのに毎年胃カメラを飲んだり大腸に内視鏡を入れたりすれば、かえって具合が悪くなる。検診の類いは本当に体の調子が悪くなってからすれば、それで十分だと思っている。そりゃそうだ。

今年1月、かかりつけ内科医院に月一回の検診に行ったら、いつもは30秒で済む話なのに、いきなり濃厚な電子的健診に回されて5,000円を要した。

「市の健康診断イベントに行けば無料なのに」と妻に叱られたが、医師が強引にやるんだもんね。2月の検診はわずか10秒で終わる。もはや服の上から電子機器をかざすだけである。小さな町医者なのに、いつの間にか電子化されていた。

企業に健康診断を義務付けている先進国は日本だけである。無意味なのに続けている理由は金儲けである。完全な医療利権なのだ。健康診断はタダではなく、健康保険や税金などからその資金が出ている。それによって金儲けをする人たちがいる。

「そもそも、誰も健康診断を受けなければ医者に行く人は大幅に減り、年々膨れあがっていく日本の莫大な医療費が抑制されるはずだ。それなのに、どうして政府は義務の健康診断を廃止しないのか。

それは病気の自覚のない人まで健康診断で病人に仕立て上げ、それによって医療資本を儲けさせようとしているからだ」と著者は説く。

今の医療は健康診断、検査漬け、薬漬けという流れで金を吸い上げるシステムになっている。病気や病人をつくりだしているのだ。やはり健康というのは、資本主義が人を騙すための大きなお題目になっている。我々は健康を持ち出されると、意外と簡単にコントロールされてしまうのだ。

フィンランド保険局が、医者に管理されたグループと、なんにもしないグループの15年間の追跡調査をしたら、本人任せのほうが死者数が少なかったそうだ。フィンランド症候群と呼ばれている現象である。なにもしないほうがいいんだ。いい話だ。

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