「人為的地球温暖化」とやらが、根拠に乏しいは話であることはかなり前から明らかになっているが、地球の温暖化が進んでいると信じて疑わない人が驚くほど多い。
2019年に台風15号と19号が立て続けに東日本を襲い、2020年7月に熊本県南部を中心に記録的豪雨が襲った。こうした被害が出るのは、人為的地球温暖化のせいだと主張する人が多かった。
著者が「人為的地球温暖化は疑った方がいいよ」と言ったら、ツイッターで罵詈雑言を浴びせてくる人がいてウンザリさせられた。朝日新聞やNHKなどマスコミも、地球温暖化という新興宗教の信者のようだと思ったという。
熊本豪雨についても、地元の西日本新聞が「地球温暖化が進み、これまでの常識が通用しなくなりつつある」と報じ、国土交通省のホームページの「地球温暖化と大雨、台風の関係」というコラムで「日本における大雨の発生数が長期的に増加傾向にあるのは、地球温暖化が影響している可能性があり……」と根拠なき危機を煽っていた。
1970年代までは地球の寒冷化を心配する見方のほうが一般的だった。1988年にNASAの気象変動分析チームのジェームズ・ハンセンらが地球温暖化論を唱えると、世界中で急激に温暖化脅威論が広がった。
2001年にはクリントン政権の副大統領だったアル・ゴアが「不都合な真実」という書籍で温暖化の危機を煽った。2015年のCOP21(国際気候変動枠組条約国会議)で、京都議定書の後継となるパリ協定を採択、これが現在の地球温暖化防止の国際ルールになっている。
温暖化はまるで一般常識であるかのように定着していった。温暖化のせいで「太平洋の島嶼国ツバルが沈む」とか「ホッキョクグマが絶滅する」とか「夏には北極海に氷が全部溶ける」とかいったバカ話が広まった。温暖化の決定的証拠とされた「ホッケー・スティックス」というグラフは捏造だった。
人為的地球温暖化論を推進する連中にとっては、もう温暖化が本当だろうとウソだろうとどうでもいいんだよ。「環境」のような聞こえのいい話は、国民を欺すための大義名分としてうってつけだから、このネタを正義の御旗に巨大資本が儲かればいい。もはや人為的地球温暖化は、科学ではなく政治的なアイテムになっているわけだ。
……そうだったのかあ。
またもや、養老孟司の発言を引用。あるとき東大の大きな会議で、総長が「この文言はどうやって解釈すればいいんですか」と法学部の委員に聞いた。すると、その人は「総長がどのように解釈するのがいいか言ってくだされば、いかようにも解釈いたします」と答えたという。
「上が黒と言ったらそれに合うよう解釈を行い、上が白と言ったらその通りの作文をでっち上げる。霞が関の官僚がやっていることはまさにこれだよ」……そんなことだろうとは思っていたよ。
編集長 柴田忠男
image by: Shutterstock.com