中国と北朝鮮の犬に墜ちた韓国。米韓共同声明のまやかしと文在寅の及び腰

kp20210322
 

3月16日には日本と、18日には韓国との間で共同声明を採択した米国務・国防長官。しかしその内容には看過できない差があるようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、米韓共同声明に「北朝鮮の非核化」という文言が含まれなかった理由を解説。さらに文在寅大統領の従北ぶりを批判的な筆致で記しています。

朝鮮半島の非核化と北朝鮮の非核化

アントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官が3月15日から18日にかけて日本、韓国を訪問。まず日本では、中国を牽制しつつ、インド太平洋戦略の摺り合わせをやり、北朝鮮の非核化と人権問題、日本の拉致問題などを話し合ってそれらを共同声明に盛り込んだ。

すぐに韓国へ。韓国での外務相+国防相(2+2)会談は4年半ぶりとなった。韓国側は鄭義溶(ジョン・ウィヨン)外交部長官と徐旭(ソ・ウク)国防長官、米国はブリンケン国務長官とオースティン国防長官。4人の長官は3月18日、共同声明を採択したが、声明には両国長官が韓米同盟が韓半島とインド太平洋地域の平和と安保、繁栄の核心軸であることを再確認し、韓米同盟がこれまでになく重要だということで認識を共にしたという内容が盛り込まれている。特に北朝鮮の核・弾道ミサイル問題が両国の優先関心事だとし、北朝鮮に対しては、国連安保理決議を完全に履行することが重要だと強調するにとどまった。

中国・北朝鮮に擦り寄る文政権下の韓国では、共同声明に中国の牽制も北の非核化も盛り込まれなかった。盛り込まれなかったものの、口頭でブリンケン国務長官は、米国は継続して北朝鮮の非核化に焦点を合わせていると明言した。トランプのときは「北朝鮮の非核化」とは言わずに「朝鮮半島の非核化」といっていた。日本の茂木外相は(ブリンケンと同じように)「朝鮮半島の非核化」とはいわず「北朝鮮の完全な非核化」のために国連安全保障理事会決議の完全な実行の重要性を確認したと語っている。この「朝鮮半島の非核化」と「北朝鮮の非核化」と何がちがうかについて簡潔に書いてみたい。

朝鮮半島の非核化という用語は、1992年1月20日に締結され2月19日に発効した「朝鮮半島の非核化に関する南北共同宣言」から使われた。この宣言は南と北は朝鮮半島を非核化することによって核戦争の危険を除去し朝鮮半島の平和と平和統一に有利な条件と環境を醸成しアジアと世界の平和と安全に貢献するとして下の6項目の合意を行った宣言だ。

  1. 南と北は核兵器の実験、製造、生産、搬入、保有、貯蔵、配備、使用をしない
  2. 南と北は核エネルギーを平和的目的にだけ利用する
  3. 南と北はは核再処理施設とウラン濃縮施設を保有しない
  4. 南と北は朝鮮半島の非核化を検証するために相手側が選定して双方が合意する対象に対して、南北核統制共同委員会が規定する手続きと方法で査察を実施する
  5. 南と北はこの共同宣言の履行のために共同宣言発効後1か月以内に、南北殻統制共同委員会を構成・運営する
  6. この共同宣言は南と北がそれぞれ発効に必要な手続きを経てその文書を交換した日から効力を発生する

これは、南北基本合意書とともに当時の南北の総理が署名したもの。朝鮮半島の南北から、核兵器とそれを製造する一切の施設を除去するということだった。この時点では韓国にも米国の戦術核が配備されていたために、南北の非核化を朝鮮半島の非核化としたことに矛盾はなかった。ところが、この宣言後、韓国に配備されていた米国の戦術核が全て撤去されたために、朝鮮半島の非核化は北朝鮮の非核化を残すのみとなった。そうしたことから朝鮮半島の非核化は、イコール北朝鮮の非核化を意味する用語として使われてきた。

1994年のジュネーブ米朝非核化交渉でも北朝鮮は、南北非核化共同宣言の履行を踏まえたうえで合意し、対価として毎年50万トンの重油の供給や2機の軽水炉建設の支援をうけた。2002年、北朝鮮が秘密裡に濃縮ウラニウムを製造していたことが発覚して一連の支援は中断されるのだが、北も核拡散防止条約から撤退し抵抗した。

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