衆院「4月解散説」の大バクチ。国民をバカにする政治家の厚顔無恥

reizei20210323
 

ワクチン接種も遅々として進まずコロナ禍に喘ぐ国民も多い中、突如降って湧いた衆議院の「4月解散」説。そもそもなぜこの時期に総選挙を行う必要があるのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、与党が解散を決意した9つの考えうる理由を挙げるとともに、政権に対してあまりに国民をバカにしていると猛批判。さらに野党の側の責任についても厳しく追求しています。

4月解散説は、まるで有権者をバカにした話

今週になって、いきなり「4月解散」などという説が出てきました。非常に不思議なタイミングですが、考えられる理由としては、

1)10月に衆議院は任期満了となるが、その直前の解散だと「解散ができずに追い込まれた」感が濃くなって、惨敗の可能性がある。約半年前の4月なら、総理として「解散権を行使したという勢い」は出る。

2)五輪の海外無観客は、世論的にはプラスであり、少なくともマイナスではない。

3)4月から5月の時点なら、とりあえず50%観客で五輪はやるという構えとして、その後でボイコットが多数出てから中止という順序になるなら、政治的ダメージは極小化できるかも。

4)ワクチン確保に必死の姿勢を見せるが、一般の接種は先なので「副反応を理由とした反対運動」が、この時点で大きく盛り上がることはない。

5)第4波が懸念されるが、緊急事態宣言を出さずに、ある水準以下で抑え込めば、「ウィズ・コロナ」的な安定が感じられるかもしれない。

6)当面、5月までなら株安はないだろう。

7)4月中旬の日米首脳会談が「功績」としてアピールできるかも。

8)デジタル改革を公約にして、抵抗勢力をあぶり出す方法で、多少の票の上乗せができるかも。

9)負けそうな補選を総選挙に吸収してしまえるかもしれない。

ということで、一見すると「菅内閣が勝負に出るのも一理ある」という印象を与えるかもしれません。ですが、一番大切なコロナ対策ということでは、全く何の成果もなければ、国民の納得感もないわけです。

そんな中で、選挙をしようというのが国民をバカにしていると思います。その「バカにしている」の半分は菅政権への違和感ですが、半分は野党にも感じます。

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