一家は伝えられるところによると、「2週間以上の自主隔離が求められる中国経由での帰国を断念し、唯一の手段として『徒歩による国境越え』を断行した」とのこと。北朝鮮を離れた理由は「子どもの健康問題」であったというが、北朝鮮は国境封鎖により海外からの食料などが入って来ないので、平壌に在住する外国人たちばかりか、北朝鮮の人民も厳しい生活を余儀なくされていた。
昨年3月には、ウラジオストックに向かう飛行機に、一度にドイツ・ロシア・フランス・スイス・ポーランド・ルーマニア・モンゴル・エジプトの各国外交官がまとめて出国したことがあったが、米国に拠点を置く北朝鮮専門サイト「NKニュース」は3月19日、平壌駐在の世界食糧計画(WFP)職員やチェコの外交官ら計20数人が18日、陸路、中国へ出国したと伝えた。
北朝鮮は新型コロナウイルス対策で、昨年1月末から国境を封鎖し、食材や日用品の不足が深刻化していた。このため、各国大使館は一時閉鎖したり、規模を縮小していた。NKニュースによると、今回の出国で北朝鮮には、国連機関や国際非政府組織(NGO)の外国人スタッフは1人もいなくなり、人道支援活動の影響が懸念される、と伝えている。
しかし、北朝鮮は、かつてこれらの組織に「まともな食糧援助も行っていないのだから、駐在する人員を削除するように」と勧めたこともあったものの、いざ、誰もいなくなると、どこから食糧援助を求めるのか。中国か韓国か、はたまた日本からか、北朝鮮の出方を見守るしかない。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)
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