なぜ先生やコーチは大勢の子どもにうまく話を聞かせられるのか?

 

2.聞いて嬉しい内容で

子どもは、新しいことにチャレンジしては失敗して…を繰り返して成長するもの。なので、プレーの結果(出来・不出来)を話題にすると、どうしても失敗=ミスを指摘する厳しい内容になりがちです。

「ボールを取られちゃダメじゃないか」

─そんなこと、子どもだって百も承知です。取られたくて取られているわけではないのに、この言い方では進んで話を聞きたい気持ちにはなれませんよね。

「あそこでは、左に行くべきだった」

─思い出してください、子どもは“自主性・主体性”に溢れた存在。一方的に言われると、吸収が悪い素材でできています(笑)。触れるべき話題は、子どもの意図を認めること。かけるべき言葉は、意図を持ってプレーしたことへの褒め言葉です。

「ユウトは今、ケイスケにパスを出そうとしたんだね!」
「ちゃんと周りを見て、自分で考えたんだね。良いプレーだ!」
「その調子で行こう!」

そこに加える形で、子どもに伝えたいことを前向きに言い添えましょう。

「今度は、右だけじゃなく、左の方まで全部見られたら、もっと良いプレーができるよ!」

結果へのダメ出しは、もうひとつ大きなデメリットがあります。意図を持って行動している子は、誰よりも自分で失敗を痛感しているもの。そこへ重ねて厳しい指摘を受けてしまうと、失敗の可能性のある行為、つまり次のチャレンジ自体への意欲を失いかねない恐れがあるのです。

また、仮に意図を持ったプレーではないと見えた場合に、「意図を持たずにプレーしたこと」にダメ出しすることも、不適切です。その子が「意図を持たずにプレーした」理由は、

・考えて意図を持ってプレーする余裕がないか
・どんな“意図(=プレーの選択肢)”があるのかを知らない

のいずれかです。これはどちらも、コーチ側の課題として受け止めるべきもの。

・意図を持つことの大切さを伝えつつ
・顔を上げて周囲を見る(=余裕を持って意図を持つ)ことができるようなトレーニングを実施し
・子どものレベルに応じたプレーの選択肢(≒戦術など)を教えていくこと

でじっくりと対応していきましょう。

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