知性の欠如も安倍前首相ゆずり。「まん防」菅政権のドロ船が沈没する日

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緊急事態宣言を全面解除してはみたものの、わずか2週間足らずで感染が再拡大、慌てて「苦肉の策」とも囁かれるまん延防止等重点措置の初適用を決めた菅政権。それもこれも東京オリンピック開催のためと言われていますが、はたしてこの状況で五輪を行うことなど可能なのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、新型コロナ対策における菅政権の姿勢を「ズルズル」と酷評し、背景には3つの問題体質があることを指摘。その上で、このままの対応が続けば東京五輪は中止になるとの予測を記しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年4月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

4月リバウンド、5月緊急事態、7月感染ピークか?――「まん防」という逃げ腰の対応でますます泥沼へ

全国的な感染状況は、明らかにリバウンドから第4波の爆発へという危機的な様相を示していて、このまま行けば、3月21日の緊急事態宣言の全面解除の前後にすでに多くの信頼すべき専門家が懸念していたように、5月連休明けにも再度の緊急事態宣言、それでも抑え切れずに7月に入り第4波がピークに達することもありえよう。

上昌広=医療ガバナンス研究所理事長は「変異株が主流になれば、夏の流行が拡大し始める4~5月に感染者数が一気に増え、7月の五輪開催時にピークになる可能性が高い。緊急事態宣言下の大会になりかねない」と述べている(サンデー毎日4月11日号)。

そうなる以前の4月2日段階ですでに国際水泳連盟(FINA)は、4月から5月にかけて日本で開かれる予定だった、

  1. 飛び込みのW杯兼五輪最終選考会(4月18日~)
  2. アーティスティック水泳の五輪予選(5月1日~)
  3. オープンウォーターの五輪予選(5月29日~)

の3大会を中止する可能性があることを日本側に通告していた。理由は、一言でいえば日本のコロナ対策の不備で、具体的には、日本側がコロナ対策の費用負担をFINAに求めていること、審判など関係者が入国後に少なくとも3日間の隔離を義務付けていること、などに不満と不安を抱き、一部は渡航を拒否しているためである。

当たり前の話で、日本が感染の抑え込みに見事に成功して、さあ世界の皆さん、安心して日本に来て気持ちよく競技に取り組んで下さいとお迎えし、それこそ“おもてなし”しなければならないというのに、リバウンドから第4波の爆発に向かうかというホストである日本人自身も恐怖せざるをえない状況の真っ只中に、来たいならコロナ対策費を分担し、隔離ルールにも従いなさいというのでは、世界の役員・審判・選手の一体誰が喜んで来るだろうか。

3大会とも五輪予選であり、1.と2.は五輪テストイベント(本番の会場を用いての競技運営の最終予行演習)も兼ねている。これらが中止となると、代表も決まらず〔代替的な決め方はないではないが〕、予行演習抜きのぶっつけ本葉とならざるをえず、結局、少なくともこの3競技については本番も中止となるのではあるまいか。

こうして、日本がコロナ禍での混乱と組織委スキャンダルとの重なり合いでドタバタを繰り返す醜態を世界に晒す中、早くも東京五輪は足元からズルズルと崩れ始めているのである。

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