知性の欠如も安倍前首相ゆずり。「まん防」菅政権のドロ船が沈没する日

 

まだワクチンに過剰期待をかける菅

菅のこうしたいい加減な姿勢を生み出しているもう1つの要因は、彼のワクチンへの過剰なまでの期待である。彼は昨秋以来、事あるごとに「ワクチンしかない」「ワクチンが来れば何とかなる」と口癖のように言い、1月18日の通常国会に向けた施政方針演説では「2月下旬までにはワクチン摂取を開始できるよう準備する」と宣言。直後に、役立たずの和泉洋人首相補佐官=大坪寛子厚労省審議官のコネクトルーム不倫コンビに代わって河野太郎行革相にワクチン担当大臣を兼任させる異常な人事を発動したが、国際的な獲得合戦の中での致命的な出遅れはなかなか挽回できそうになく、いまだに主要先進国37カ国のOECD内で日本の人口に対するワクチン接種率は0.65%の最下位、英オックスフォード大学などの「Our World in Data」の世界142カ国・地域のランキングでは102位、という体たらくである。

そのこと自体がまことに残念ではあるのだが、もっと深い問題は、ワクチンが仮に河野が言うように順調に届いたとしても、それが万能の解決策であるかに思うのは間違いだということである。ある専門家の指摘によると、IgG抗体をつくる現行のワクチンでは、

  1. 感染そのものを予防することは不可能。ワクチンでIgG抗体は出来るがIgA抗体は出来ないので粘膜面での感染予防は難しい。
  2. 感染してしまった場合、潜伏期が2~3日と短い場合はIgG抗体が出動しても間に合わず発症を防ぐのは難しいが、潜伏期が5~6日などと長い場合はIgGの出動が間に合って発症を妨げる可能性がある。
  3. 重症化を防ぐ可能性は高い。

つまり、感染した人が接種していれば、重症化を防ぐにはかなり効果があるという程度のものが今のワクチンである。だから、接種者は胸にバッジを付けたりパスポートを貰ったりして好きなように街中を闊歩していいかのように言われているのは全くの間違いである。他方、デメリット面としては、

  1. いかなるワクチンにも付き物の副作用はあって当然である。
  2. 接種して抗体ができた後に感染すると、かえって症状が悪化する危険がある。
  3. 他人への感染を防ぐことはできない。接種者が感染した場合に他人に感染させる可能性は、未接種者の場合と変わらない。
  4. 今後どういう変異種が出現し、それにワクチンが対応できるかどうかは全くの未知数。
  5. 一層根源的な問題として、今回初めて開発されたmRNAタイプのワクチンは、人体内部で遺伝子組換え実験を行ってしまうという大胆極まりない試みであり、それが10~20年という長年月に人体にどんな異常を引き起こすのかは誰も分からない。トウモロコシや大豆の遺伝子組み換え食品を経口摂取することさえ忌避する人が多いというのに、それは大胆というより無謀なことではないのか……。

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