なぜ宮城の老舗温泉旅館は、コロナ禍でも客足が途切れないのか?

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新型コロナウイルスによる感染症拡大の影響を受け、多くの業種が苦境に立たされています。こと旅行業界が被っている打撃は凄まじいものですが、そんな中にあって、例年並みの業績を維持している老舗旅館が存在することをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』ではそんな温泉宿の当主が、コロナ禍でも客足が途切れない理由や、自粛期間中に考え実行に移した経営思想等を語っています。

400年以上続く老舗旅館に学ぶ商売のヒント

宮城県の鎌先の地で400年以上にわたって歴史を刻んできた温泉宿「時音の宿 湯主一條」。その経営を担う二十代目当主の一條一平さんに、企業永続のヒントを語っていただきました。


──コロナ禍で宿泊業は苦戦を強いられていますがこちらの現状はいかがですか

一條 「昨年4月は休業要請をいただいて営業を自粛しましたけれども、おかげさまで6月には一気に回復して、それ以降は例年並みの業績を維持しています。

経営では潮目を見ることが大切ですが、私は世の中のムードに流されないことを一つのテーマにしています。

確かにコロナ禍で大変になったことはたくさんありますが、物流はそのままですし、JRさんもこれまで通り走っていて、変わっていないものもたくさんある。では、うちの変わらないよさってなんだろうというと、個人でお越しになるお客様が得意なので、そこに磨きをかけようと。

当館はもともと団体より個人のお客様のご利用が多く、お食事も大部屋ではなく、個室スタイルの料亭で少人数で召し上がっていただいています。

その上で、ウイルスに効果の高い電解水生成装置を新たに設置するなど、感染対策を徹底し、お客様に安心してご利用いただける態勢を整えました。

こうした情報をホームページで発信しましたら、遠方へ出掛けにくくなった反動もあって、地元宮城県をはじめ東北一帯から多くのお客様にお越しいただくようになり、いまは全体の6割を占めるまでになっているんです」

──近場によい旅館があることが改めて認識されたのですね

一條 「それから自粛期間にもう一つ、頭を冷静にして改めて決意したのが、雇用を維持することです。

同業者の中には、人を切って多額の資金を手にした後、結局銀行の管理下に置かれたところもありました。先ほど、長く商売することが経営の根幹と申しましたが、そのために不可欠なのはやっぱり『人』です。スタッフを大切にしないと商売は成り立ちません。

そのため値上げに踏み切り、感染対策を兼ねて毎日空き部屋を設けたり、全館休館日を設けたりしてスタッフが休めるようにしました。その間にお互いの絆を深める工夫をして、仲間を大事にしたいという私の思いを皆に伝えたことで、「自分はここに居ていいんだ」と皆に実感してもらうよいきっかけになったと思っています」


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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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