ユニクロ、ウイグル問題に無言の卑怯。中国「新疆綿」禁輸の前に日本がすべきこと

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欧米諸国が中国共産党によるウイグル人へのジェノサイドを認定し抗議の声を上げ、名だたるアパレル関連企業が新疆(しんきょう)綿の使用停止を決めています。しかし日本は、政府もユニクロを展開するファーストリテイリングなども懸念を示すか無言を貫くばかりです。メルマガ『j-fashion journal』著者で、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは、こうした態度に対し、まずは政府が中国共産党による人権弾圧への反対と抗議の姿勢を示すべきと主張。そのうえで国益的に困難な新疆綿製品の禁輸については、中国を追い詰めることの危険性を国際社会に訴えることで回避すべきと持論を述べています。

新疆綿問題を考える

1.ウイグル人への人権弾圧

新疆綿の根本的な問題は、ウイグル人への人権弾圧である。トランプ大統領は中国共産党政府がウイグル人を弾圧しているとし、ポンペオ国務長官は「ジェノサイド」だと断定した。ジェノサイドの定義は、1948年に国連総会で採択された「ジェノサイド罪の防止と処罰に関する条約」(通称「ジェノサイド条約」)による。

本条約の第2条によると、ジェノサイドとは「国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を集団それ自体として破壊する意図をもって行われる次のいずれかの行為」であるとし、5種類の行為を挙げている。

  1. 集団の構成員を殺すこと
  2. 集団の構成員に重大な肉体的または精神的な危害を加えること
  3. 全部または一部の身体的破壊をもたらすよう企てられた生活条件を故意に集団に課すこと
  4. 集団内の出生を妨げることを意図する措置を課すこと
  5. 集団のこどもを他の集団に強制的に移すこと

欧米で放映されたテレビ番組には、強制的に連行されているウイグル人の様子が紹介され、SNS上には内部告発の動画もアップされている。西側先進国は、次々と米国のジェノサイド認定を支持し、中国との対決姿勢を強めている。現在のところ、日本政府はジェノサイド認定を行っていないし、強い抗議行動も取っていない。

2.新疆綿、新疆綿製品の禁輸

持続可能な綿花栽培を促進する「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」は、2020年10月、人権への懸念を理由に2020/21年シーズンの新疆綿承認を停止すると表明した。

この判断は至極妥当である。国際認証機関はコンプライアンス(法令遵守)が徹底されており、その中でも人権弾圧は最重要課題である。人権弾圧の可能性があるという段階で、取り扱いを停止するのは当然だ。本来なら、この段階で中国政府は第三者機関の調査を受け入れるなどして、疑いを晴らさなければならない。

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