ユニクロ、ウイグル問題に無言の卑怯。中国「新疆綿」禁輸の前に日本がすべきこと

 

BCIメンバーである、H&M、バーバリー、アディダス、ナイキ、ニューバランス等が新疆綿を使用停止にするのも当然である。H&Mは3月24日、微博に「H&Mグループの新疆デューディリジェンスに関する声明」を投稿した。この中で、「H&Mグループは民間社会組織の報告とメディアの報道に深く関心を示しており、新疆ウイグル自治区の少数民族の『強制労働』と『宗教差別』を非難し、新疆にあるどのアパレル製造工場とも協力せず、同地区から商品と原材料も仕入れない」とした。

これに対し、中国ではH&Mに対する報復的な不買運動が発生している。米国は、1月13日、新疆ウイグル自治区で生産された綿製品とトマトの輸入を禁止した。自治区内で行われているとされる強制労働への懸念を受けた措置である。

3.無言の日本政府と日本企業

ウイグル人権問題に対する政府の態度は消極的だ。「懸念」を示すだけで、具体的なアクションはない。公明党の山口代表は3月30日の記者会見で、ウイグル人権問題について、「わが国が制裁措置を発動するとすれば、(中国当局の)人権侵害を根拠を持って認定できるという基礎がなければ、いたずらに外交問題を招きかねない」と述べた。

一部の国会議員はウイグル人権問題に対する措置が可能になる法案を準備しているが、反対意見も根強いようだ。しかし、米国を初めとする西側諸国の足並みが揃い、日本に対する外圧と、選挙を左右する世論が高まれば、政府見解が一気に転換する可能性もある。

日本政府は、中国との外交、中国における日本企業のビジネスを懸念しているのだろうが、「人権弾圧に対する断固たる態度」を示すべきだろう。それがない限り、企業も動きようがない。

但し、各国政府は、自国の産業や企業を保護する必要があるので、対応措置に格差が出るのは当然だ。例えば、「ウイグル人に対する人権弾圧は許してはならない」という声明を出す。そして、「第三者機関の調査」を要求する。但し、日本と中国の貿易は巨額であり、影響も大きいので、新疆綿製品の輸入禁止については、第三者機関の調査結果を含めて、慎重に検討を進める。

以上の内容ならば、政府もコメントできるのではないか。もちろん、中国政府は報復措置を行うだろうが、その報復に対しても、明確に反論すべきである。無言という態度は最も卑怯な態度と判断される。最終的には、米国、中国の双方の信用を失いかねないのだ。

print
いま読まれてます

  • ユニクロ、ウイグル問題に無言の卑怯。中国「新疆綿」禁輸の前に日本がすべきこと
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け