ユニクロ、ウイグル問題に無言の卑怯。中国「新疆綿」禁輸の前に日本がすべきこと

 

4.新疆綿製品禁輸の前に行うべきこと

新疆綿製品の輸入禁止の前にやるべきことは多い。まず、人権弾圧に対する明確な反対と抗議を行うこと。日本政府として、ジェノサイド認定を行うこと。米国政府同様、共産党政府が悪いのであって、中国人が悪いのではない、ということも表明して欲しい。中国人全体の生活を破綻させるような政策には反対する、と加えてもいい。そして、「北京五輪のボイコット」声明を出す。

以上を、新疆綿製品の輸入禁止よりも先行すべきだと思う。中国産の綿の中で新疆綿は8割程度のシェア。綿花の輸出はしていないが、綿糸、綿布、綿製品を輸出している。

日本のアパレル製品の7割は中国製であり、綿製品の多くは素材を現地調達している。つまり、中国から輸入する綿製品はほぼ新疆綿が使われている。これを輸入禁止にすることは、日本の産業と企業、国民生活に多大なダメージを与えるだろう。

また、中国経済にとっても大打撃になる。紡織品輸出は中国最大の輸出産業であり、就業人口も多い。世界が本気で中国の綿製品を輸入禁止にしたら、中国経済は崩壊する。ウイグル人だけでなく、多くの中国人の生活が破綻してしまう。

「新疆綿製品の禁輸」という政策はあまりにも影響が大きい。そして、中国政府を追い詰め過ぎるのではないか。こうした見解を国際的に発表した上で、「新疆綿製品の禁輸については、日本としては慎重に考えたい」とすれば、理解を得られるのではないか。

編集後記「締めの都々逸」

「罪を憎んで 人憎まない 綿花憎んで どうするの」

不買運動って簡単です。買わなければいいんだから。でも、その対象があまりにも大きくなると、何も買えなくなる。例えば、新疆綿とかです。

北京五輪のボイコット、ジェノサイド認定、中国共産党の人を全員入国禁止にしてもいいから、新疆綿製品の輸入禁止はするべきではない、と思います。本気で中国経済を破壊したいのなら、その選択肢もあるでしょうが、「悪いのは中国共産党であって中国人が悪いんじゃない」というなら、中国共産党だけにダメージを与える政策を考えるべきです。(坂口昌章)

image by: Shutterstock.com

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