高齢者がコロナ禍で「賞与なし」、1年後に年金で戻ってくるって本当?

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さて、この男性は65歳以降も継続して働く事になり、現在の給与は40万円(標準報酬月額41万円)と、7月と12月に60万円ずつの賞与が支給されていた。この場合の年金停止額を算出する。使用する年金月額は老齢厚生年金の報酬比例部分112,672円(年額1,352,064円)

・年金停止額→{(標準報酬月額41万円+直近1年に貰った賞与を月換算した額10万円+報酬比例の年金月額112,672円)-停止基準額47万円}÷2=76,336円

つまり老齢厚生年金(報酬比例部分)112,672円-停止額76,336円=36,336円(年額436,032円)

停止額が年間916,032円かかってる状態ですね。

だから年金総額としては2,524,015円-916,032円=1,607,983円(月額133,998円)

その後、令和3年1月からコロナ禍により給与が30万円に下げられており、令和3年4月からは標準報酬月額が30万円に変更になった。さらに令和3年の賞与は支給しない方向となった。この男性の年金停止額はどう変化していくのか。

まず、令和3年4月時点で標準報酬月額が40万円から30万円に下がり、直近1年(令和2年5月から令和3年4月)に貰った賞与は120万円(60万+60万)。

・令和3年4月からの年金停止額→{(標準報酬月額30万円+直近1年に貰った賞与を月換算したもの10万円+年金月額112,672円-停止基準額47万円}÷2=21,336円(年間停止額256,032円)

年金総額としては2,524,015円-停止額256,032円=2,267,983円(月額188,998円)になる。月給与(標準報酬月額)が下がったので、かなり停止が無くなりました。でもまだ完全には停止が抜けてないですね。

次に年金額が変わるのは、令和3年7月。ここで令和2年7月に60万円貰った賞与が抜ける。よって直近1年間に貰った賞与は令和2年12月に貰った60万円のみとなる(月換算すると5万円となる)。

・令和3年7月からの年金停止額→(標準報酬月額30万円+月換算した賞与5万円+年金月額112,672円)≦停止基準額47万円なので、停止額が消える。

よって令和3年7月からは何も停止されない本来の年金2,524,015円(月額210,334円)が支給されるようになる。

賞与が無くなるのは悲しいものですが、逆に年金支給額が増えてくるとちょっと嬉しいですね。

※ 追記

65歳以降に働いた分は退職して1ヵ月経過した時、または70歳に到達した時から年金額を再計算して支給する。

なお、令和4年4月改正により、65歳以上の人は毎年9月1日を基準として8月までの期間で年金額を計算し、10月分の年金から新たな年金を支給する事になる(在職定時改定)。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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