実質的に世界一高い大学授業料
しかも、日本のこの授業料は、実質的に世界一高いのです。そもそも、大学の授業料などというものは、世界中の国が威信をかけて、安くしているものです。高等教育こそが国力の礎だからです。
日本は少子高齢化社会を迎え、子育てに関しては国家を挙げて支援しなければならないはずなのです。にもかかわらず、大学の授業料が実質世界一高いというのは、どういうことか?ということです。下のデータを見れば、わかるように、ドイツ、フランスの大学の授業料は、まるで無料のように安いのです。イギリスとアメリカの大学の授業料は、日本よりも高く見えますが、両国は奨学金制度が充実しているため、お金がなくても入れる学生も多いのです。
イギリスの場合は、誰でも授業料の全額を国から借りることができ、返済額は卒業後の収入に応じて決められます。収入によっては返済免除となります。だから、収入が少ない人は、全額返済をしない場合もあるのです。
アメリカの場合、連邦政府の奨学金、州政府の奨学金、企業の奨学金などの幾多の奨学金制度があり、大学生の70%が何らかの奨学金を受け取っているのです。しかも、アメリカの奨学金は、イギリス、日本の奨学金と違い、原則として返済不要なのです。
日本の奨学金は、ほとんどが返済を要するものであり、収入による返済免除の制度などもほとんどありません。実質的に、日本の大学生が先進国の中では、断トツで負担が大きいといえるのです。
アメリカで何らかの奨学金を受けている人の割合
公立4年制大学 ………… 73.9%
私立4年制大学 ………… 86.1%
アメリカ全大学合計……70.7%
「The National Center for Education Statistics」より
先進国の大学の授業料
・日本(入学金+授業料 私立は+その他)
国立大学 817,800円(282,000円+535,800円)
公立大学 935,555円(397,595円+537,960円)
私立大学 1,314,251円(269,481円+857,763円+187,007)
※国公立大学は2012(平成24)年度、私立大学は2011(平成23)年度
・アメリカ(2009年)
州立大学(総合大学) 約835,000円
州立大学(4年制大学) 約613,000円
私立大学(総合大学) 約3,423,000円
私立大学(4年制大学) 約2,049,000円
・イギリス(2011年)
国立大学 最高額約1,100,000円
・フランス(2010年)
国立大学 約21,000円
・ドイツ(2012年)
州立ボン大学 約24,400円
(文部科学省・教育指標の国際比較より)