大学生を借金で苦しませる日本。元国税調査官が暴く授業料「大幅値上げ」の大嘘

 

韓国より20%も低い大学進学率

奨学金の返済問題に関しては、政治家や官僚も、さすがに気づいたらしく、最近になって、国は、給付型の奨学金の創設に向けて動き出しました。給付額は月3万円を給付し、返済不要という奨学金をつくることになったのです。

しかし、この新しい給付型の奨学金制度は、あまりにお粗末なのです。この給付型奨学金に対する予算は、年間たったの70億円です。一人当たり年間36万円支給するとして、せいぜい2万人分にしかなりません。有利子の奨学金を受けているのが90万人だからその2%程度です。焼け石に水とはこのことです。住民税を払っていないなど本当の貧困家庭の子しか受けられないのです。年間100兆円の予算を使っている国家が、大学生の奨学金にたった70億円しか出せないのです。

この貧相な日本の大学教育制度は、大学進学率に如実に表れています。日本は、大学進学率において先進国の中でもかなり低い部類なのです。OECDが発表したデータによると、2012年の時点で、日本の大学進学率51%。OECD31か国中、22位なのです。アメリカ、イギリスなどと比べればはるかに低いし、OECDの平均値62%よりも10ポイントも低いのです。しかも隣国の韓国では、大学進学率は71%であり、日本は20ポイントも低いのです。

もちろん、この日本の大学進学率の低さは、大学の授業料の高さや奨学金などの諸制度のお粗末さが最大の要因です。繰り返して言いますが、日本は急速に少子高齢化が進んでおり、子供は少なくなっているのです。にもかかわらず、その少ないはずの子供たちにまともに教育を受けさせることさえしていないのです。なぜ日本は、こんなに政治が貧困な国になったのか、ということです。

金持ちの子しか大学には行けない

日本では大学の授業料が高額な上、進学するためには、学校のほかに塾などに行かなくては難しいです。既存の学校があまり充実していないからです。となると、金がある家の子しか、いい大学に入れないことになります。それは、実際にデータとしても表れているのです。

東京大学が行っている「学生生活実態調査」によると、2016年の東大生の75%以上が、親の年収は750万円以上なのです。そして、東大生の親の約60%は年収が950万円以上なのです。年収950万円というと、かなりの高収入です。親にそれだけの収入がないと、いい大学には入れないということです。

東京大学というと、高級官僚のシェア率が断トツに高く、一流企業に就職できる確率も非常に高いです。つまりは、金持ちになることをほぼ約束された人たちです。そして、この東大生になるには、金持ちの家に生まれないと難しくなっているのです。このようにして、日本では急速な勢いで社会の世襲化が進行しているのです。

print
いま読まれてます

  • 大学生を借金で苦しませる日本。元国税調査官が暴く授業料「大幅値上げ」の大嘘
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け