楽天モバイルはiPhone取り扱い開始で他社ユーザーを奪い取れるか?

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楽天モバイルが4月30日からアップル製品を取り扱うと発表。これまでもSIMフリーでiPhoneは使えましたが、正式に取り扱うことで、乗り換えを加速させることができるのでしょうか?メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、ようやく競合3社と戦う舞台に立てると評価。ユーザーはどう立ち回ればメリットがあるかを伝えるとともに、楽天の「最後の難関」として残る課題を指摘しています。

楽天モバイル、iPhone取り扱いで他社ユーザーを奪えるか

楽天モバイルは、4月30日よりiPhone 12シリーズ、iPhone SE、Airtagなどアップル製品を取り扱うことを発表した。国内キャリアによるiPhone取り扱いは2008年・ソフトバンク、2011年・KDDI、2013年・NTTドコモに続く4社目となる。

楽天モバイルは2020年4月に本格的な商用サービスを開始。当時、2980円で使い放題のプランを提供。さらに1年間、無料のキャンペーンを仕掛けるなど料金の安さで勝負してきた。しかし、一般的なユーザーからすると「Androidスマホしか選べない」という点が、乗り換えの障壁となっていた。

楽天モバイルとしては、Rakuten miniやRakuten BIGなどオリジナルのAndroidスマホを手がけていたが、iPhoneユーザーからすれば、どんなに料金プランが安くても、iPhoneが選べないとなると二の足を踏む。これまでの楽天モバイルもSIMフリーのiPhoneであれば、SIMカードだけを契約して使うことはできた。しかし、APNを自分で設定し、さらに一部に制約があるなど、使い勝手は必ずしも完璧では無かった。

今回、iPhoneを正式に取り扱うことができるようになり、顧客獲得に拍車がかかることだろう。楽天モバイルはiPhoneを手にしたことで、ようやく3キャリアと戦う舞台に立てたのではないか。

とりあえず「iPhone 12に買い換えよう」という人であれば、楽天モバイルを新規にeSIMで契約しつつ、3キャリアの契約を従量制プランで維持しておけば、データ通信料金は3ヶ月無料で、既存の契約も安価に維持しておくことが可能だ。一般のユーザーには敷居が高いが、とりあえずはiPhoneのeSIMを活用した2回線持ちというのがオススメと言えそうだ。

楽天モバイルとしては、あとはネットワーク品質をいかに高めるかが課題だろう。都内ではauローミングが終わりつつあり、多摩地域では「圏外になった」という悲痛な声がSNSであふれている。まさに阿鼻叫喚といったところだ。

さらにユーザーの声を注視してみると「レジで楽天Payを使おうと思ったら圏外で使えなかった」というクレームが結構多い。昔に比べて「音声通話が使えない」というよりも、決済の場面で使えずに困ることがあるようだ。となってくると、やはり屋内に浸透しやすいプラチナバンドの確保が急務と言えそうだ。

楽天モバイルは4キャリアでiPhoneの本体価格が最安値だとアピールする。最安値に飛びついて楽天モバイルを契約し購入。しかし、ネットワーク品質に嫌気がさして、ahamoなどに移行するユーザーが増えてしまっては意味が無い。楽天モバイルとしてはiPhoneを獲得し、勢いづけるチャンスが到来しているだけに、最後の難関である「ネットワーク品質の向上」をいかに急ピッチでやり遂げるかが、勝負と言えそうだ。

image by:Karolis Kavolelis / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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