「媚中」なら再び敗戦国に。何があっても菅総理が米に付くべき理由

 

菅さんが「逆張り」してはいけない理由

諸行無常。2015年中国に向かっていた世界は、今中国から背をむけつつあります。親中だったオーストラリアは2018年、『サイレント・インベージョン』がベストセラーになり、国論が反中に変わった。今では、完璧に「反中の急先鋒」です。

イギリスも、親中から反中に大きく転換した。きっかけは、中国が昨年、「香港国家安全維持法」を成立させたこと。イギリスは、中国が香港返還時の約束「50年間一国二制度を維持する」を破ったことに激怒したのです。

伝統的に非同盟外交を行ってきたインドは、米中覇権戦争でも中立的立場を維持してきました。ですが、昨年5月、中国との国境紛争が再燃。インド兵20人が死亡したことで、決定的に反中になりました。

フランスやドイツも、香港問題やウイグル問題を黙認しつづけることができず、反中に変わっています。ドイツのマース外相は、ウイグル問題で中国に制裁を科した件で、「コストが発生することは当然わかっている」と語りました。つまり、中国からの報復制裁で、ドイツが経済的損失を被っても仕方ないと。

これらのことから見えてくることは何でしょうか?「親中の国が続々と反中に転向している」という事実です。しかも、反中に転じた国は、イギリス、ドイツ、フランス、インド、オーストラリアなど強力な国ばかり。

2015年、世界の国々が、中国に向かっていた。2021年、世界の国々が、中国から逃げ出している。「この局面で中国を大切にする」のは、「逆張りの視点」ですね。ですが、今回は、「順張り」が正解です。

中国は、「海警法」を成立させ、着々と「尖閣強奪」への布石を打っている。だから日本は、アメリカ、インド、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツなどと一緒に、中国を封じ込めるべきです。

「中国が東シナ海、南シナ海、台湾、インドとの国境、ウイグルなどで悪事ができないよう封じ込めよう」

これが、【世界の大局】です。「封じ込め」は、中国と戦争するための戦略ではありません。逆に、「中国に戦争(戦闘)させないための戦略」なのです。アメリカは冷戦時代、ソ連を封じ込めて動けなくし、自滅に誘導しました。今回も、同じ戦略です。

菅内閣は、親中の二階、竹下派、親米の細田、麻生派が支持している。それで、米中の間を揺れ動きます(たとえば、アメリカ、イギリス、EU、カナダがウイグル問題で中国に制裁を科しても、日本は制裁しない)。ここは、総理のリーダーシップで、親米反中の立場を鮮明にするべきでしょう。

日本は先の大戦で、ユダヤ人を虐殺していたナチスドイツの同盟国になって負けました。中国は今、ウイグル人100万人を強制収容し、ウイグル女性に不妊手術を強制し、「民族大虐殺」(ジェノサイド)をしている。どう見ても、「現代のナチスドイツ」です。

日本は、二次大戦と同じ過ちを繰り返すことなく、はっきりアメリカ側につくべきです。それだけで、「戦勝国」になれるでしょう。総理が、変な逆張りをすれば、自動的に「また敗戦国」です。

image by: 首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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