飯尾 「あと、私は口下手ですし、喋りが苦手なんですよ。だから、お客様がお話しすることをとにかく一所懸命聴きました。お客様はみんな凄い人だと思える気持ちがあるので、売ることよりも目の前のお客様に興味があったんです。
ですから、お客様と2時間話して買っていただけなくても、それでいいと思っていました。そこは私にとって一番大事なところで、接客は売ろうとして売れるものではなくて、無心になった時に売れるものだと気づいたのです」
──ああ、無心になる。
飯尾 「『売ろう、売ろう』という思いが先行すると、私自身ちゃんとした会話ができなくなるんです。そうすると、お客様もそれを感じて、心をブロックしてしまう。
そうじゃなくて、まずお客様が時間をつくってくださったことに対して感謝の気持ちを伝え、とにかくお客様といろんな話をしながら自由な時間を楽しむ。こちらが余裕を持っていると、会話の中でお客様が先に本音を言ってくれるんですね。
本音が聴けた時に初めてこちらは動けるわけなので、お客様から『この車はどんな感じですか』と聞かれるまで、自分から商品の説明をしませんでした。売ろうとしたら売れない。これは非常に大事なことだと思います」
(本記事は月刊『致知』2013年2月号 特集「修身」から一部を抜粋・編集したものです)
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