なぜ日清食品は「残ったスープを固めるパウダー」を開発したのか

 

私も購入したのですが、もともと、動画SNSサイトのティックトックで、アップされていたのをみつけたのがきっかけでした。これは、面白いと思い、その動画をTwitterで投稿したところ、フォロワーの方で、富山県で中華料理屋さんをやっている方が、さっそく反応されて、「町中華としては、スープまで完食なさるお客さんには、本当に感謝しています。しかし、ご本人の健康を考えると、どうしても塩糖脂の摂り過ぎが心配。健康と環境に優しい手段が生まれて、廃棄の方法が多様化するのは、とてもありがたいです」ということでした。

確かに、ラーメンってスープも美味しいですが、塩分や脂がきになるところなので、廃棄が簡単になることに加えて、健康面においても、良さそうな感覚がします。

先日もこのメルマガで取り上げた、コカコーラの100%リサイクルのペットボトルなどもそうですが、環境に配慮した製品の周辺のものが増えてきました。日本だけではなく、全世界でこの動きが増えてきているので、会社やブランドとして、環境に配慮している、というイメージがあると、「同じカップラーメンなら、やっぱり日清だね」となることも多くなります。

ブランドを差別化する際に、このように、市場環境の変化によって、消費者が受け取るイメージが好転することが、よくあります。このプロモーションは、そのイメージ好転に、寄与しています。今回のこのパウダーに関しては、数量限定での、どちらかといえば、販売促進のためのキャンペーンに見えますが、その意味でも、ユーザーの興味をひく、とても面白い仕掛けです。

実際にオンラインストアで買わなければもらえませんし、買う場合には会員登録も必要です。多くの人が買って、このパウダーをもらっているようで、「固めて可燃ゴミになるから、とてもありがたい」「このスープ、飲み干せないので困っていた」と、多くのツイートが見受けられます。その意味で、話題作りにも成功しているので、日清食品にしては、成功したキャンーペーンでもあります。

また、これだけ話題になると、小林製薬の方は業務用などでの生産も、考えにいれているでしょう。大量生産ができるようになると、安く販売できるようになって、広く市場に流通できようになります。

話題性もあり、消費者の隠れた悩みにも対応でき、さらに、環境にもいいESG経営もアピールできる、この固めるパウダー、今後の展開を注目していきたいところです。

image by:Wacharin Soponthumkun / Shutterstock.com

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