北朝鮮の金正恩政権は、なぜ、韓国の脱北者団体が飛ばしてよこすビラを恐れるのか。金与正が韓国からのビラの飛来を嫌い、怒っているのはなぜか。
これについて一部には「金与正や李雪主のポルノ合成写真に激怒したから」と説明しているが、事はそのように簡単なことではない。韓国から飛来するビラは、金正恩政権を揺るがしかねないほどの威力を持っており、まさに「空飛ぶ紙爆弾」である。その証左に北朝鮮は昨年12月4日の最高人民会議常任委員会の総会で「反動的思想・文化排撃法」を採択した。その27条には「南朝鮮(韓国)の映画、録画物、編集物、図書、歌、図画、歌、写真などを直接見たり聞いたり保管した者は、5年以上15年以下の労働強化刑(懲役刑)を宣告され、禁止コンテンツを流布させた者は、無期労働教化刑(無期懲役刑)や死刑など最高刑に処す」とある。
私は10年以上も前から韓国から北朝鮮に、北朝鮮から韓国に飛ばす「空飛ぶ紙爆弾」のビラの存在に注目し、現在3,000枚(種)のビラを収集し分析している。
北朝鮮から飛んでくるビラは韓国側に与える影響は少ないが、反対に韓国から北朝鮮側に飛んで行くビラは、金王朝を崩壊させるほどの威力を持っている。北朝鮮としては断固として飛来を阻止し、人民がビラに接することを阻止しなければならないのである。
この件については次号でも説明する。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)
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