いじめ探偵がパワハラ教員を告発。東京高専の生徒を自殺に追い込んだ悪魔の所業

 

ハラスメント訴えに対する報復

その後、2020年9月以降、陽向君は学生会で承認を得て購入した物品についての監査を激しく受ける羽目になったのだ。もともと、監査はこれまではなく、引き継いだ経理関係のものは杜撰極まりなかったはずだ。関係者に話を聞くと、監査の背景にはパワハラで問題となった学生主事補が指示しているということだったという。

監査を務めた上級生は昼夜問わずの質問や指示メールなどを送っていたことがわかっている。

一方、学生会はこの監査について、全体に責任が及ぶと問題の学生主事補から言われており、学生会に所属する下級生にもその責任が及ぶと言われていたことから、会長である陽向君に会長職を降りるように打診をしていたのである。

さらに、学生会室に入室した者も監査対象などになって履歴書に記載されることになると脅されていたのである。

つまり、コロナ禍の文化祭という問題から生徒や保護者の安全を守ろうとした会長が、強硬開催を求める教員と対立し、そのパワーバランスで学生である会長はハラスメントの被害者となった。これを問題として提起しようとしたところ、不発に終わらせられて、それ以降報復を受けることになったのである。

事実、監査のメッセージは陽向君が命を絶った30分前にも来ており、命を絶ち、連絡が当然取れなくなった5日の朝、「無事ならいいんだけど…」という文言があるメッセージが届いている。つまりは、ずいぶん追い詰め、追い込んだということではないだろうか。

陽向君の死後、ご遺族は問題の学生主事補の教員らと話をしている。

その中で陽向君が一人で会計作業を抱え込みつつ、学生生活の他、学生会活動などを忙しく過ごす中で、教職員らは陽向君が音をあげるのを待っていたという発言を聞いている。

致命的な失敗をさせて、学生会長という座を不名誉に終わるように仕向けていたのであった。

現在の状況

現在、学校の設置者である高専機構は、第三者委員会を設置することをご遺族に約束し、委員の選任についての話し合いなどを行っているが難航している。一方で不可解なのは、高専機構が第三者委員会を設置するのではなく、問題のあった東京高専に第三者委員会を設置する方向で調整が進んでいるということだ。

一般企業で言えば、パワハラを起こした会社が自身のパワハラ問題に対して第三者委員会を設置するようなもので、この段で中立公平性の担保は崩壊していると言えるだろう。

また、陽向君が行ったハラスメントに関する申し入れは、文化祭中止を求めるための交渉の一環で行われたものだという無根拠な噂が流されたり、ご遺族が一方的に揉めているのだといううわさが保護者間に流されているという。

また、本件を調べる中で、陽向君の自死の前にも自死事件が起きていることがわかっている。

一体、何が起きているのであろうか。

3月16日国会の文教科学委員会のやり取りで大まかな確認をすることができた。

令和2年度の国立高専生の自殺者数は13人であり、自殺率で言えば、高校、大学と比較して2倍となっている。

そして、この高確率の背景は、厳しい進級基準、高専の先生方、教員の生徒指導に対する経験などの不足など高専独自の要因であると分析されていると記録されている。

高専はロボコン事業などそれなりの実績をあげている教育制度を持っていることは確かだ。しかしその一方で、生徒の安全配慮には杜撰な面がすでに国会で指摘されるほどの状態になっている。

陽向君に何があったのか早急な調査を中立公平な第三者で調べることは当然のことだが、全国の高専生が安全に学生生活を過ごせるように早急な対策が必要であろう。

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