五輪「中止や延期不可」の謎。ネックは選手村マンション転売問題か?

 

スポンサー契約以外にも、色々な利害や口約束がある可能性があります。その具体的な1つとして、武藤事務局長が再三にわたって言及しているのが、選手村の転売問題です。今回の選手村は、五輪開催後には物件をマンションとして転売することとなっており、既に売れてしまっているのだそうです。そこで、2020年から21年に延期するにあたっては、購入者に入居を遅らせてもらっている、これを更に延長するのは難しいというのです。

武藤氏といえば、大蔵次官から初代の財務次官をやり、日銀副総裁を5年やった超大物です。その超大物が、選手村の転売問題という「比較的限定された話」について、再延長はできないと何度も述べ、だから五輪の延期は無理だと言っているというのは、どうにも不自然な感じがします。

これは、1年延期の際にそれこそ違約金をケチって、購入者から突き上げを食らったので、2度と同じ目には遭いたくないのか、反対に、2020年の延期の時点で、社会には公表できないような多めの違約金を払っており、同様の措置を繰り返すことはさすがにできないという2通りの可能性があります。武藤氏の言い方には、カネで解決できないというニュアンスがあるところを見ると、後者なのかもしれません。

ということで、現時点での仮説としては、五輪の中止や延期に関する「IOCとのカネの問題は、イメージに反して明朗会計である」可能性があります。その一方で、菅政権が中止や延期をできない理由には、恐らく国内の金銭的事情がある、そのように考えるのが合理的と思います。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋)

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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