以前掲載の「なぜ、イエローハット創始者は苦行のような日々を耐えられたのか」でもお伝えしたとおり、「掃除」を通して会社を育て、社会をも動かしたイエローハット創業者の鍵山秀三郎氏。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、そんな鍵山氏を師と仰ぎ自らも各所で清掃活動を続けられてきた2人の男性が、「掃除が持つ効用と力」について語っています。
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鍵山秀三郎さんに学んだ掃除の哲学
日常生活の基盤となる掃除を徹底して掘り下げることで人を変え、会社を変え、学校を変えることができることを自らの実践によって証明した人がいます。イエローハットの創業者・鍵山秀三郎さんです。
『致知』最新号の6月号では鍵山さんに薫陶を受けた阿部豊さん(日本を美しくする会東京掃除に学ぶ会所属)木南一志さん(新宮運送社長)のお2人が鍵山さん学んだ生き方や掃除の素晴らしさについて対談されています。日々の掃除がいかに人生や仕事を豊かにするのか。お2人の体験からは、そのことが伝わってきます。
10年続けると変わっていく
阿部 「鍵山さんは会社をよくしたい、業界をよくしたいという思いから、1人で掃除を始めるわけですね。10年以上経って、ようやく社員さんがついてきた。最初は社員さんが掃除をしている鍵山さんを跨いで通っていたといいます」
木南 「不思議と同じことが起きるんですね。私が掃除を始めた頃もそうでした。冒頭にお話ししましたが、私は最初、北九州のトイレ掃除に参加したんです。そこで汚れてドロドロになった小便器と2時間向き合って綺麗にすることができた時、『ああ、やったな』という納得感と共に、言葉にならない充実感、達成感が自分の中に入ってきて、『これをやらないとだめだな』と感じたんです。
それで友人と2人で「播磨掃除に学ぶ会」を立ち上げ、駅のトイレ掃除を早速始めました。田舎のローカル線の駅ですけれど、大便器は板で打ちつけられて使用禁止、小便器は使えるけどグチャグチャの状態でした。そこを掃除すると言うと駅員さんがびっくりして、『何かの宗教ですか』と(笑)。
でも、トイレがだんだん綺麗になってくると、駅前に花が植わるようになって、花のお世話をする人が増えてきて、駅の周辺のお店が自分の店の前を掃くようになりました。2つの駅のトイレ掃除を交互にやっていたんですけれど、最終的にはその2つとも駅舎が新しく建て替わったんです。トイレ掃除をやった駅だけが新しくなったんです。徹底した掃除がいかに世の中を変えていくかということですよね。そうなるまでには10年くらいかかりました」
阿部 「やはり10年続けてようやく変わるんですね」
木南 「10年ごとの節目というのはあるような気がします。だから、1つ決めたことを徹底してやるとすれば、10年やれということでしょう。10年という節目を自分なりに納得できるようにやると、何らかの答えは返ってくる気がします」
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