東大を出ても“忖度官僚”どまり。日本人の「学力低下」を加速させた真犯人

 

さて、私が小林氏に呼ばれたのは、何かの書き物で、「日本人はネットを使っても、統計数字に当たることはない」ということを書いて、今の日本人がなぜ小林氏の話が理解できないのかがわかったということと、その事実に衝撃を受けたということだった。

さらに、「自分は数学が苦手だったし、今でも苦手だが、今回のコロナの話はすべて四則計算ができればわかる話だ」ともおっしゃった。

どちらもその通りである。しかし、日本人の愚民化政策はものの見事に成功している。

90年代の末に、私は京都大学の西村和雄先生たちと「ゆとり教育」の反対運動に身を投じていたが、90年代の半ばに、日本人の中学生の数学力はシンガポールや韓国の子どもに抜かれてしまった。

それなのに「ゆとり教育」を断行したのだ。

それをなんとかやめさせようと、西村先生は大学生の数学力調査を行った。そこでは、さらに戦慄的な結果が待っていた。

なんと、早慶クラスの大学でも、数学を未受験で入学した学生は、2割が分数の計算ができず、7割は二次方程式の解の公式を使う問題ができなかった。

数学を入試に出さないとこんな程度の学力なのは、「高校で落第させない」からだ。

そして早慶へ合格者を出す高校というと、地方だと一流と言われているはずだ。

地方の一流校の高校生の2割以上が分数ができず、7割が二次方程式ができない。

結果論として、PCでもスマホでも半導体でも、日本は台湾、韓国、中国に勝てなくなった。我々の予想はものの見事に当たったが、当時は、彼らに日本が負けるわけがないと一笑に付されていた。日本の製造業がアメリカに勝ったのは学力のおかげ(そう分析されて、アメリカはレーガン以降、基礎学力の育成に力を入れている)だが、日本の先進製造業が東アジアの国々に勝てないのは学力低下のためだ。

こんな話をするとウヨクは日教組のせいにしたがるが、日教組にそんな力はない。

文科省のサヨク官僚と、日本の問題をすべて受験のせいにして自分たちの大学教育の改革を拒み続ける大学教授、とくに東大教授たちが「ゆとり教育」の実行部隊であり、それを陰から支えたのが、自分のバカ息子を世襲させたい政治家と財界人である。

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