自衛隊OBによる尾身会長批判で明らかに。日本の国家制度の未熟さ

 

専門家の誇りにかけて言うべきは言う。国民はそれを期待しているし、批判された大統領でさえそれを認めざるを得ない。首にしたら国民の怒りは大統領に向けられます。それが閣僚級のアドバイザーという職責なのです。菅義偉首相が記者会見で尾身さんを同席させ、自分の発言を補足させているのは、それを意識している面があるからでもあります。

トランプ政権でも、マティス国防長官、ケリー大統領首席補佐官、マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官は、軍人出身者として公式に異を唱えてきました。これに対して、トランプ大統領はいかに腹が立とうとも、丁重に労をねぎらい、次の人物に引き継ぐことしかできなかったのです。

このような閣僚級アドバイザーの姿は、米国と密接な関係にある自衛隊OBであれば熟知していなければなりません。それを、軍事組織、それも自衛隊の幕僚と一緒くたに考え、尾身さんへの非難を口にするというのは、日本の国家制度の未熟さを見る思いがします。カニは自分の甲羅に合わせて穴を掘ると言いますが、私も含めて、もう少し大きなカニに成長したいものです(笑)。(小川和久)

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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