二階幹事長の陰謀。突然「安倍取り込み議連」を立ち上げた“老兵”の魂胆

 

英国・コーンウォールのG7会合における菅首相は、「外交は苦手」と公言するだけあって、いかにも居心地が悪そうだった。国際舞台で地味さが映像化され、いちばんガッカリしているのは、総選挙を控える自民党の代議士たちであろう。

それでも、自民党内は「菅続投」で固まりつつある。菅首相が安倍前首相から引き継いだ「自由で開かれたインド太平洋」構想の議連を二階幹事長がつくり、安倍氏が最高顧問になるという動きの背後に、党内の異論を封じる意図が透けて見える。

だが、それも全て、楽観的な見通しのもとに組み立てられている。ワクチン接種が進み、感染を抑え、東京五輪・パラリンピックは全日程を終える。五輪観戦の熱が冷めないうちに菅首相は衆院を解散し、総選挙。自民党は苦戦しながらも単独過半数を確保する。それを、国民の信任を得たと解釈し、菅首相は総裁選を無投票再選で切り抜ける。とまあ、そんな感じだろう。

変異して感染力を増すコロナウイルスは、ヒトの勝手なシナリオをせせら笑うかのように、暴れまくっている。43%以上の人々がワクチン接種を受けたイギリスで再び感染者が急増しているのは衝撃的だ。ほぼ、インド由来の「デルタ株」だという。日本でもデルタ株はジワジワ広がっている。

しかも、東京では緊急事態宣言下にもかかわらず、人の流れは増える傾向だ。この調子では、東京五輪の開催と同時に、感染拡大の第5波がやって来ないとも限らない。

そうなった時、五輪、医療、人流抑制をどうするか。政府が抜かりなく対策を練っている様子がうかがえない。とにかく接種、とにかく五輪開催。それだけで突き進んでいるように見える。

何が起こるかわからない不安がある。東京五輪が、コロナ対策の壮大な実験場として世界に注視されるようでは切ない。変異ウイルスを甘く見て、大会と医療が大混乱に陥るようなことがあったら、まず菅政権はもたない。

安倍前首相と二階幹事長はそんな最悪のケースまで想定したうえで菅続投の未来図を描いているのだろうか。コロナ楽観論に浸りきり、議連、議連と騒いでいるように見えて仕方がない。

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