史上初「オリンピック開催すなわち国民貧困化政策」を実証する東京五輪

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遂に開幕予定日まで1ヶ月を切り、有観客での開催が濃厚となった東京五輪。新型コロナ感染予防の観点から中止を求める声は未だ各所で上がっていますが、精神科医として医療の現場に立ち、アテネオリンピックに招かれた経験も持つ和田秀樹さんは、別種の不安を抱いていると言います。今回のメルマガ『テレビでもラジオでも言えないわたしの本音』では和田さんが、過去に行われたのオリンピックを引き合いに出しつつ、杞憂では終わりそうにない「懸念」を記しています。

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何のためのオリンピック

私の予想通り、オリンピックが強行されるようだ。

私自身は、感染が多少増えても、大したことが起こらない(夏の暑いさかりは、感染が大して広がらないし、高齢者のワクチン接種が進んでいるので、死者も重症者も増えない)と考えているが、無駄な金を使うことの悪影響は小さくないと見ている。

ギリシアはアテネオリンピックで景気がよくなるどころか財政破たんしたし、リオオリンピックでは、市が貧乏になって警察を減らしたので治安が大幅に悪化したそうだ。

東京都が財政危機に陥ると、現在の介護保険制度では、介護費用は半分自治体に押し付けているので、そうでなくても貧弱な高齢者介護がより粗末なものとなりかねない。

そうでなくても下らない自粛政策で要介護者が激増すると予想されるのに、それをどうするというのだ。

アテネもリオも観光客は増えなかった。

実際、私もアテネに招待されて行ったのだが、食べ物がまずくて高かった(オリンピックの間だけ高いのかもしれないが)。

それで二度と行く気にならなかった。

それと比べると日本の一般的なレストランははるかにおいしい。

そういう日本のよさを知ってもらうために、このオリンピックが大チャンスだったのは確かだ。

しかし、自粛政策でおいしい店を大量につぶし、その上、感染をおそれて外国人ジャーナリストの行動を大幅に規制する。これでどうやって、外国人に日本のよさを知ってもらうというのだ。

金がかかるのに、宣伝効果がゼロでは、あまりにコスパが悪い。

確かに、一過性の日本人の熱狂は生むだろう。

前にも書いたように、不参加国や不参加選手がかなりの数になるだろうし、ろくに練習ができないから、日本には有利だ。

それでメダルラッシュになって、日本では一過性の熱狂をうみ、オリンピックは大成功ということになるのだろうが、その代り外国の反感は買いかねない。

そうでなくても、バッハの評判はすこぶる悪いのだから。

NBCだって記録が凡庸だと思うように視聴率が取れず、損したと思いかねないだろう。

日本の宣伝になる代わりにイメージダウンになるために開くならなんのためのオリンピックかわからない。

ナチス時代のベルリンオリンピックは、過去最大の参加国を誇り、初の聖火リレーを行い、また初のテレビ中継を行うなど、大成功のオリンピックだったが、戦後はヒトラーの宣伝に使われただけの最悪のオリンピックのような評価を受けている。

このオリンピックのために空港やアウトバーンも作り、景気もものすごくよくなったし、ヒトラーは消費を増やすために旅行を奨励していたのだが、このオリンピックは弾みをつけた。

経済政策としてもうまくいったオリンピックで、その後、オリンピックを通じて経済を浮揚させるモデルにもなっている。

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