反体制派の中国人を同胞が暴行。海外にスパイを送る中国共産党の卑劣

 

しかし、それだけではありません。オーストラリアでは、台湾を国として扱うなど、中国政府の立場と異なった教材を使ったり、発言を行った教師に対して、中国人留学生が「不快な思いをさせた」として謝罪を求めるようなことも起こっています。

中国人学生に「謝罪」する豪の大学教師たち…台湾や領土表記で「不快な思い」と批判、ネットで拡散

このように、中国は学生を使って他国の学問の自由までも犯そうとしているのです。日本でもそのうち、「尖閣諸島は日本領土」と教えた場合、中国人留学生が大挙して学校に抗議してくるという事態すら起こりかねません。

中国には国防動員法というものがあります。この法律によれば、中国政府が「有事だ」と判断した場合、国外にいる中国人にも国防義務が生じ、諜報活動や破壊活動などを行うことを命じることができるのです。

この法律が2010年に施行された際、「中国人のほとんどは中国共産党を信じておらず、また、個人主義・家族主義が強い一方で、国家への忠誠心は薄いため、さすがに海外にいたら、命令には従わないだろう」という意見もありました。当時は中国人の海外移住もさかんで、共産党幹部も不正蓄財とともに妻子を海外移住させるケースも多く、多くの中国人が海外逃避していたという背景もありました。

現在も海外逃避の夢はあるものの、新型コロナで海外渡航が制限されていることもあり、中国にいる親族を呼び寄せることも出来ずに人質に取られていては、中国共産党に従わざるをえなくなることも多くなっています。

また、昨年の国家安全維持法の施行以来、イギリスは香港返還前に生まれ、英国海外市民(BNO)旅券を持つ香港人のイギリスへの移民受け入れを表明していますが、これに対して中国はBNOを旅券として認めない方針を打ち出し、これを牽制しています。

香港市民対象の英国旅券「認めない」 中国が反発

本来であれば、「嫌なら出ていけ」ということで、中国共産党を批判する中国人、香港人は海外に出て行ってほしいはずなのですが、中国は海外に出して民主主義や言論の自由を礼賛したり、中国政府批判を行われることを恐れているわけです。

そのため、親族を人質に中国人スパイを送り込み、反体制派中国人を取り締まるとともに、他国の政治にも介入しようとしているということなのです。

旧ソ連は、海外逃亡した政敵に対し、スパイを送り込んで暗殺しました。トロツキーもメキシコで暗殺されています。また、現在のロシアも、反プーチンの政敵やジャーナリストなどが暗殺されていることはよく知られています。

これらは個人を狙った暗殺ですが、中国は同様のことを海外にいる反体制派や民主派の中国人、香港人に対して行っているわけです。反体制的な言論を行えば、中国人留学生から暴力を振るわれ、脅迫を受ける。中国にいる親族も当局に連行される。そうした恐怖から、香港系移民も中国系移民も、あるいは留学生たちも、言動を制限されているというのが現状なのです。

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