米軍は台湾にすら近づけず。情報筋が明かした中国人民解放軍「真の実力」

 

国境線の防衛と反撃能力の充実に資源を集中投下

しかし、上意下達が徹底されている人民解放軍と中国共産党との一連の連係プレーにより、物理的に軍備が急激に充実したのと同じく、今後、習近平国家主席がいうlast one pieceとされる台湾併合へ向けて、そしてそれを阻止する勢力に対して対抗できるように訓練がより過激かつ頻繁に行われることになるという見解が、安全保障コミュニティで強まってきました。

そこにすでに経済面でも証明済みのハイテク技術に支えられた高度化と、技術的なキャッチアップスピードの短縮が期待されます。

そして、いろいろと中国関係者から聞いて出てくるのは、「長距離対応の戦力の充実よりも、現時点では国境線の防衛と反撃能力の充実に資源が集中投下される方針」だそうです。

それには短中距離対応の弾道ミサイル(核弾頭搭載可能)や地対空ミサイル、対潜水艦ミサイル、潜水艦から発射可能なミサイル能力、そして沿海における脅威に対する海軍能力と、戦闘機における作戦など、アメリカとその仲間たちが、中国近辺において軍事行動に出る場合の対応です。

そこに、台湾への軍事作戦を想定した島への上陸作戦と空軍及び海軍力による支援という“攻撃用パッケージ”の作成と習熟が加わっています。

つまり中国への攻撃、特に接近戦については、かなりの能力を蓄えていると思われますし、それは、台湾周辺を舞台にした直接的な対決においては、中国側に軍配があると考えられるかもしれません。

かりに歴史的な宿願である台湾併合・統一のために武力行使を行った場合、中国の野心を食い止めるべく、中国近辺に近づいたら、アメリカ軍とその仲間たちも苦戦する可能性があり、台湾にすら近づけないかもしれません。

もちろん、長距離からの弾道ミサイルによる攻撃であれば、運用能力と攻撃能力ではアメリカに軍配が上がるでしょうが、中国が開発し、配備する迎撃システムの能力向上の噂が聞こえてくる中、最近語られる台湾を舞台にした米中衝突の行方は不透明になってくるような気がします。

であれば、今年、日米首脳会談での台湾防衛へのコミットメントの明言に始まり、G7サミットでも確認された「台湾の安全へのコミットメント」をどうやって実現するのでしょうか?

中国サイドは、すでに触れたとおり、台湾への圧力の強化が止まりませんし、訓練内容も上陸戦の実施を想定した内容が多いようです。そして台湾および中国本土に近づく相手は、持てる力を結集して破壊する覚悟を固めているようです。

それに対して、アメリカとその友人たちのサイドは、クアッドと欧州3か国との協力に見られるような“艦隊の編成”による物理的な圧力の強化と、おそらく対中サイバー攻撃への準備は強めていくでしょう。

しかし、基本姿勢として、アメリカ政府は台湾との国交樹立はプランに入れておらず、あくまでも“独立した”台湾が存在する「現状維持」を目的にしています。

また、アメリカ軍も明言しているように「対中先制攻撃はない」とされており、中国が台湾を攻撃して初めて軍事的な対応措置を取るという姿勢があることを忘れてはなりません。

それはサイバー攻撃なのかもしれませんし、シリアに行われたようにトマホーク巡航ミサイルを同時発射する形で攻撃する形かもしれません。

もしくは、最近、アメリカ国内で縮小と廃止への議論がバイデン大統領から出され、物議を醸し出している小型戦略核兵器による、限定的でありつつ決定的な攻撃手法になるのかもしれません。

ただし、どのような形式での対応になる場合でも、同盟国すべてが同意する・サポートする内容・方式である必要があり、反応時間にタイムラグが生じるかもしれません。ましてや小型核爆弾の使用の是非について、果たして唯一の被爆国である日本が同意するのは困難でしょう。加えて多国籍軍としての連携能力にも、もしかしたら限界があるかもしれません。

このような状況を踏まえると、なかなかシンプルにインド太平洋地域における“両陣営の軍事バランスと優位性”に対してクリアな答えが導き出せないと考えます。

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