コロナ禍になぜ?「ホテルのサブスク」を始めた三井不動産の勝算は

 

コンセプトで売り物を独自化する三井不動産

東京ドームのホテルの事例は、三井不動産の独自性を表しています。

大手不動産会社にそれぞれ特徴があり、三菱地所はやはり東京丸の内のオフィスに強く、住友不動産はビジネスビルに強いという印象があります。

一方で、三井不動産はららぽーとやアウトレットなど、商業施設にも力を入れています。また、六本木や日比谷にあるミッドタウンのような、土地を再開発して、商業、ビジネス、住まいを一体化する、「タウンマネジメント」に強いイメージがあります。

東京ドームのホテルを完全子会社化した時に、なぜこの時期にホテルを、と感じました。しかし今回のこの「CITYまるごとDOME(ドム)住む」の発表で、やはりタウンマネジメントのコンセプトで、ホテルだけ活用し売り上げを期待するのではなく、周辺施設全体を盛り上げることで、相乗効果を狙っている目論見を感じました。

企業は自社の強みを生かすことで差別化をするのですが、三井不動産のこの事例は、これまで蓄積されできたタウンマネジメントのノウハウ、という強みを生かしています。ノウハウ、というアナログの強みは、他社が最も真似をしにくい、強力に差別化された強みです。

ビジネスでは「どうしても価格競争になってしまう」「営業で値引きしなければ契約にならない」という売れない問題が発生します。

この問題の根っこには、「十分な差別化ができていない」ことがあります。差別化とは、顧客から見た時に、「ライバルよりも価値がある」と、顧客に認識されることです。

この東京ドームのホテルの住むサブサービスでいえば、ホテルに安く泊まれる、という機能的なメリットではなく、このホテルに長く泊まると、色々と楽しめる、という情緒的な価値で、差別化できています。

この差別化ポイントを捻り出すには、タウンマネジメントで培った経験、という目に見えない自社の資産になります。

値引きになりがちだ、という売れない問題を抱えていたら、今一度、顧客の価値を見直して、ニーズを定義して、そこにライバルよりも価値があると認識される、差別化ポイントをあてているかどうか、を再確認するといいでしょう。

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image by: IgorGolovniov / Shutterstock.com

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