自動車業界は電動化へまっしぐら。この大きな変化の波に乗れないと会社そのものが転覆してしまう事態にもなりかねません。それは大元の自動車メーカーから小さな部品工場まで規模は違えど同様で、それぞれに生き残り戦略が必要になります。メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』著者で人気コンサルの永江一石さんの元には、自動車部品を扱う専門商社に勤める読者からの相談が届きました。永江さんは、ドラマ化もされたある一冊の本にヒントがあると推薦しています。
今後の自動車業界での生き残り戦略
Question
今後の自動車業界での生き残り方についてアドバイスいただきたいと思っております。私は自動車部品を扱っている専門商社に勤めており、海外事業の部門で中国向けエンジン関連部品の販売を担当しております。連日のようにニュースや新聞で報道されている通り、自動車業界は電動化の動きが加速しており、エンジンの新規開発が今後著しく縮小していくことが見込まれているためエンジン関連以外の新たな商材の取り扱いなどの新たな取組みが急務の状況です。
電動車の市場が拡大していくことから、現在は電動車用の商材を扱うべく市場調査やサプライヤーへのアプローチを行っておりますが、キーパーツを取り扱うTier1(自動車メーカーに直接納入する一次サプライヤー)は自社販売網があるため商社が介入することは容易ではなく、一方で、それ以外の部品は中国の地場サプライヤーの存在感が高まってきており、そこも商社の介入が難しいことから、新たな商材の取り扱いに苦戦しております。
大手商社の自動車関連事業では、地場企業と合弁会社を設立したり資本提携などを行い商圏の獲得や共同事業を行っているケースが見られますが、当社では資金やノウハウ・経験が十分とは言えないため、資本提携などには積極的ではございません。そのような状況のなか、自動車業界での生き残るために永江様でしたらどのようなことをされるかアドバイスを頂けたら幸甚です。
永江さんからの回答
自動車業界の将来は非常に厳しいので、生き残るには他社との差別化が必須だと思います。最大の理由は質問者さんがおっしゃる通り、電動化の加速によるマーケットの縮小です。先日トヨタが2030年の電動車の目標販売数を500万台から800万台に上方修正しましたが、自動車部品のマーケットは急速に縮小しています。
● トヨタは2030年の電動車販売を550万台から800万台に、HEVとPHEVはEV走行がカギ:電気自動車 – MONOist
例えば地方の商店街の学生服屋さんの売上を爆増させるのが難しいように、市場が縮小しているところでどれだけ策を練っても打つ手は皆無ですよね。
ただガソリン車が今すぐゼロになるわけではないので、その中で生き残るには独自性を出すしかありません。一例ですが、日本の小さな町工場で優れた技術を持っているのに世に出ていないところを探し、車に転用できないか考えてみるとか。従来通りの作業を繰り返していても未来はないので、他社が思いもつかない画期的なアイデアを出せるよう頭を絞って考えることが大切です。
以前ブログに書いた『下町ロケット』にヒントがありますので、参考図書として一度目を通すことをおすすめします。
● 下町ロケットは原作を読むと3倍楽しめる。間違いない – More Access! More Fun
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