IT業界のダークサイド
実を言えばこの仕組み、ちょっとITのシステムに関わっている人なら誰でも知ってます。なんでかというと、その仕組みを「提供する側」に回ったことがあるから。私もいまはやってないですが、そういうプロジェクトに関わったことも何回かあります。そうですな、まあ、当然のことですが違法ではない。違法ではないけどフェアなのか?と言われると、んーと何分か悩んだ上に、フェアでない、と言い切るには若干の戸惑いを感じなくもないと言えないわけでもないという可能性が高い。というなんだか歯切れの悪い結論しか出せないわけですよ。
これはなんでしょうね。コンピュータ業界の慣習というか、悪習というか「過剰に責任を意識しすぎて利用者に無茶を押し付ける」という傾向が昔からあります。
この話をするときにいつも思い出すのはよく昔見かけたソフトウエアのパッケージのシールのこと。大体そういうソフトウエアに貼られているシールには「警告:このシールを剥がした場合、このソフトウエアに対し返品や交換などを含め一切の責任から免責とします」みたいなことが書いてあるんですが…いやいや、無茶言うなよと。このシールを剥がしてソフトを起動してみて初めて「あ、壊れてるな」「不具合あるな」みたいなことがわかるじゃろが。このシールを剥がさなきゃどないして中身をみろっつーねん。エスパーじゃねえよ、という話ですわ。となんだかよくわからない地方の方言っぽく怒ってしまうことが多いわけですよ。
もちろん、実際に読み込めないというようなことがあればもちろん交換はしてくれるとは思うものの、基本的に「あー、これしたらもう責任とらなーい!あー、もうお前のせい」みたいな小学生みたいなアティチュード、ITの世界ではよくあることです。
つまり、絶対に誰も読まないような9ptのだらだらと長い文章を三行で表示していても、もう嫌だと思っても「戻る」ボタンがないような画面でも、ともかく利用者から「合意」をとってしまえばこっちのもの。その文面の中に結構エグいことを書いてあっても、知らない間に利用者はその規約に同意させられているわけです(ちなみに私が教えている大学の授業では「普段使っているサービスの規約をよく読んで意外だったことをレポートしなさい」という宿題を出すと、大体の生徒から驚愕のレポートが上がってきます(笑))。
(メルマガ『杉原耀介の「テックハックあきばラブ★」』2021年4月15日号より一部抜粋)
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