「自画自賛」連発に違和感。総裁選出馬の河野太郎氏に欠けているモノ

kawai20210915
 

17日の自民党総裁選告示日を控え、自己アピールに余念のない3名の出馬予定者。しかしその「手法」に疑問符を付けざるを得ない候補も存在するようです。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、テレビ番組出演時、自分の手柄ばかりを誇示するかのような発言に終止した河野太郎氏に抱いた違和感を指摘。さらにリーダーに不可欠な要素を提示するとともに、河野氏にその資質があるのか否かを問うています。

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プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

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“リーダー”たるもの、“名もなき英雄”たちに気づかないとダメ

「政治家は国民の写し鏡」と、これまで繰り返してきましたが、今回は自民党総裁選に立候補した政治家さんを取り上げます。

“サナエノミクス”に関しては昨日(14日)公開の日経ビジネスで書きましたので、こちらでは「河野太郎!」を連呼する河野太郎氏の発言についてです。「自分で言うのもなんですけど、言っちゃいますけど、やはり河野太郎でなかったら、ワクチンはここまで来なかっただろうと、正直、思っています」――。

先日、テレビ番組に出演した河野氏は、MCから自身の強みを聞かされた際、こう答えました。

菅首相に1日100万回と言われたのは、けっこう高いハードルだった、と。しかし、「河野太郎!」は頑張った、と。地方自治体が創意工夫ができるようにし、厚労省の細かい通知をなぎ倒し、縦横に立ちはだかる壁をぶったぎって、「河野太郎の突破力!」によって、「河野太郎の実行力!」によって、ワクチンを「最速160万~180万回ぐらい打ってもらえることができました」と豪語しました。

念の為断っておきますが、自分をアピールすることは極めて重要です。しかし、この世の中で“自分の力だけ”でできることなどありません。どんな仕事でも決して表に出ない「人」たちが関わっています。その「人」たちはそれぞれの現場で、リーダーが掲げた目標を遂行するために心血を注ぎ踏ん張っている。

“リーダー”たるものは、その“名もなき英雄”たちに気づかないとダメ。リーダーシップなんてものは、リーダーの力はせいぜい1割です。その以外の9割はフォロワーである部下たちの力です。フォロワーたちが「あのリーダーは信頼できる!ついていこう!」と心の距離感を縮めてはじめて、リーダーシップは完結します。

そのためのリーダーが掲げる「明確なビジョン」であり、フォロワーたちとビジョンを共有するリーダーの「準備」であり、耳の痛い発言を聞くリーダーの「胆力」です。

それなのに「俺がやった!俺の実力だよ!俺って最高!」と受け止められる発言を(少なくとも私にはそう言ってるように聞こえました)、言い放った。しかも、困ったことに、「河野太郎だったから」「河野太郎が」「河野太郎!」と「ん?今、選挙カー、通り過ぎた?」と錯覚するほど「河野太郎」を連発しました。

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