日本単独で発射抑止は不可能。北朝鮮「新型巡航ミサイル」への対抗手段はあるか?

030508-N-0000X-001 At sea aboard USS Stethem (DDG 63) ミ A Tactical Tomahawk Cruise Missile launches from the guided missile destroyer USS Stethem (DDG 63) during a live-warhead test. The missile traveled 760 nautical miles to successfully impact itユs intended target on San Clemente Island, part of the Naval Air Systems Command (NAVAIR) test range in Southern California. The Tactical Tomahawk is the next generation of Tomahawk cruise missile, adds the capability to reprogram the missile while in-flight to strike any of 15 preprogrammed alternate targets, or redirect the missile to any Global Positioning System (GPS) target coordinates. It also will be able to loiter over a target area for some hours, and with its on-board TV camera, will allow the war fighting commanders to assess battle damage of the target, and, if necessary redirect the missile to any other target. Launched from the Navy's forward-deployed ships and submarines, Tactical Tomahawk will provide a greater flexibility to the on-scene commander. Tactical Tomahawk is scheduled to join the fleet in 2004. U.S. Navy photo. (RELEASED)
 

3)日本はどのように対処すべきか?

日本単独でこのミサイルの発射を抑止することは難しい。日本に対する攻撃は、米国にとって米本土に対する攻撃と同じであると、日米同盟を利用して北朝鮮に認識させる必要がある。仮に北朝鮮が日米同盟下の日本を攻撃する場合、攻撃の目的は米国の行動を変えること、具体的には米軍の日韓への来援を阻止して米国に停戦を強制することだからだ。

北朝鮮の金正恩《キムジョンウン》国務委員長は今年1月、朝鮮労働党第8回大会で、「中・長距離巡航ミサイルをはじめとする先端核戦術兵器」の開発成功を報告した。また、北朝鮮当局は今回初めて自国の巡航ミサイルのことを、核兵器を指すことが多い「戦略兵器」と呼んだ。

しかし、このミサイルに搭載できるほど小さな核弾頭を北朝鮮が保有している証拠はない。米国の巡航ミサイル用のW80核弾頭は、本体が重量130キログラム、全長80センチ、直径30センチにまとめられている。

また、北朝鮮国内で軌道を周回して飛ぶことは、慣性誘導と衛星測位システムを利用すればできるが、トマホークのように下方の地形をデジタル地図と照合したり、目標の映像と前方の風景の映像を照合したりする機能があるのか不明だ。

北朝鮮の長距離巡航ミサイルは「新たな脅威」「レーダーで捕捉することが難しい」とも報道されているが、実は、レーダーで捕捉することが弾道ミサイルより難しいとはいえず、亜音速なので迎撃は弾道ミサイルよりも容易だ。

低空飛行する巡航ミサイルを捕捉することが、高空・宇宙空間を監視する弾道ミサイル防衛レーダーには難しいのは当然で、それはより低空を監視するレーダーサイトや早期警戒機の役目だ。低空監視体制の強化が必要なら、2010年代に米軍がメリーランド州上空の係留気球に搭載したレーダーを、航空自衛隊が導入するグローバルホーク無人偵察機に搭載してもよいのではないか。(静岡県立大学グローバル地域センター特任准教授・西恭之)

image by: U.S. Navy photo, Public domain, via Wikimedia Commons

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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